オススメ度:☆☆☆☆
数ある新聞の中でも、ビジネスマンや経済学生が読まなくてはいけないのが日経新聞。
詳しい情報と硬派な内容が人気で、特に経済・政治・国際関連に関しては他紙の追随を許さない。
社会人や学生の中にも読まなくてはいけないなと思いつつ、あまり読めていない人も多いのではないだろうか。
いっちょ読んでみるかと思って読み始めてもなかなか読み終わらない。体感では読むのに他の主要新聞の倍程度の時間がかかる。
あまりに労力がかかるため朝の短い時間ではほとんど読み終わらず捨ててしまう。
やみくもに読んでいるだけでは毎日あの量の記事を消化し続けることはできない。
読めないのは慣れていないというだけではない。読むためのコツを知らないのだ。
最短で日経新聞を読む効果を得るためにはコツがある。
この本の作者は自身の経営コンサル会社の代表でありながら名古屋大学客員教授でもある小宮一慶氏。
日経新聞のつくりと読み方のコツ、そして経済の基本知識習得することで、日経新聞を何倍も深読みすることができる本になっている。
この本の概要
この本は序章+4章の構成になっている。
第一章 一流になるための読み方のコツ:
第一章では日経新聞で絶対に見なくてはいけない欄や、どのように記事を読んでいくかというテクニカルな説明がなされている。
必ず読まなくてはいけないのが一面トップ記事、見出し、大きな記事のリード文、WORLD MARKETS(月曜日)で、これらが新聞の要になっている。
また新聞はただ読んでいるだけでは血肉にはならない。自分の頭で考えることが重要になっている。
そのためには記事と記事をマクロ的な視点で眺め、線で結んでいかなくてはならない。日にちをまたいだ記事と記事とを関連付けられるようになると、社会全体の方向性をつかめるようになっていく。
新聞を考えながら読むことに慣れたら、今度は自分で仮説を立てていく。月曜日に発表される数字を見ながら一週間の経済の見通しを立て、一週間かけて仮説を検証していく。
自分でよく考えられるようになると見出しだけで内容が推測できるようになり、これから書かれるであろう記事をあらかじめ予測することもできるようになる。
気になった記事はメモしていくのが良い。その際にはなるべく短く(一行ほど)で要約するようにする。メモすることで頭の中が整理され、考えるときに力が増す。
第二章 経済の知識で日経新聞を深読みする
二章では基礎レベルのマクロ経済学を予備知識として入れておくことによって、より日経新聞を深読みできることを示している。
この本ではその中でも特に注目すべき数字とその意味・定義が解説されており、全く経済の知識が無い人でも入りやすい作りとなっている。
名目GDPがなぜ大事か、なぜ広告扱い高は景気の波が顕著に反映されるかなどわかっているとぐんと経済が理解しやすくなるであろう事柄を扱っている。多くの人が勘違いしやすいであろう現金給与総額の説明なんかは、特に役に立った。
第三章 会社の数字を理解して日経新聞を深読みする
第三章では第二章と変わってミクロ経済について言及している。
財務諸表における重要な数字や、会社を正しく評価するにはどの項目を見るのがよいかということが解説されている。
第四章 日経新聞を曜日ごとに攻略
日経新聞は曜日ごとに載せられる数字や記事が決まっている。曜日ごとの紙面の性質を理解することでより効率よく情報を集めることができる。
一週間の中で特に重要なのが月曜日である。月曜日には大切な指標やその週の予定などがそろっている。ここを見て一週間の景気の見通しや予想を立てるのが良い。
火曜日から金曜日はその日その日のニュースをしっかりと把握していくことが重要になる。またその中で自分が月曜日に建てた予想が合っているか答え合わせもしていく。
土曜は大ニュースが載ることがしばしばある。これは平日に破綻や倒産などニュースが出て大騒ぎになることを嫌がり金曜の午後に重大な発表がなされることが多いゆえである。それ以外の部分では土曜日の新聞は一週間のおさらいという面もある。
日曜日の日経新聞はニュースが少ないが、その分コラムなどが充実している。
自分の知識を広げ耕すのに向いている。
この本を読むべき人
経済学の勉強を始めた学部一年生や、社会人になり日経新聞を読み始めたばかりという人にジャストな本。この本を読むことで自分に足りない部分もいろいろ見え、より勉強への意欲もわいてくる。
逆に日経新聞を今まで読んできたがちゃんと読めているのか確認してみたい、という人にもお勧めできる一冊。

小宮一慶の 1分で読む! 「日経新聞」最大活用術 2016年版
- 作者: 小宮一慶
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/10/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る