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【給料泥棒、社内不倫、労災…】大内伸哉『どこまでやったらクビになるか』

オススメ度:★★★★☆

 

『どこまでやったらクビになるか』

 本書のエッセンス
・大学教授が書いた労働法の本
・具体例が面白くわかりやすい
・裁判では労働者がつよい

 

感想

最寄り駅の書店にふと立ち寄った時、平積みで並べられていたある本が目に入った。タイトルは『どこまでやったらクビになるか』と、まるでサボり方を教えてくれるかのようなキャッチーなタイトルが気になりそのまま購入した。

一見ネタ本のようなタイトルだが、中身は神戸大大学院法学科の教授が書いたれっきとした労働法の入門書である。

 

内容は企業に勤めるサラリーマンが気になるような働く上での"グレーゾーン"なふるまいとその処分の如何についてで、章ごとにテーマが設定されており読みやすい構成となっている。

テーマは社内不倫や給料泥棒、自分のミスでの機械破壊など、言われてみれば気になる絶妙なラインナップである。

 

私は法律のように形式ばった文章が羅列されているのを読むのはあまり得意ではなく、読んでいるとついつい眠くなってしまうクセがある。普段であればすぐ飽きてしまうが、この本では条文と合わせて想定ケースや実際の裁判例を織り交ぜられているので、苦にならず読み進めることができた。

例えば社内不倫の実例は従業員数10人と読むだけで泥沼さを感じられるし、遊びすぎて集中力を欠いた従業員がケガをした労災の話では会社に同情した。また同じ会社の価値を毀損するような行動をとった場合でも職位によって裁判所の判断が異なることをたいへん勉強になった。

 

勤め人であれば一度読んでみても良いと思った。