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【絵画の解説】フェルメール「真珠の耳飾りの少女」【モデルの正体とは?】

真っ暗な背景の中で、大きな真珠の耳飾りをした少女が意味ありげに振り返っている。

 

今回紹介するのはフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」です。

この絵画はその印象的な綺麗な青いターバンより別名「青いターバンの少女」とも呼ばれています。

 

今回はこの「真珠の耳飾りの少女」の魅力について解説していきます!

 

この絵画を見る3つのポイント

・表情が変わっていく秘密
・美しいターバンのブルー
・モデルの正体

 

「真珠の耳飾りの少女」の解説

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「真珠の耳飾りの少女」 1655〜66年頃 マウリッツハイス美術館

絵画の中の少女を眺めていると、止まっているはずなのに表情が移り変わっていくような不思議な印象を受けます。

何気ない日常の一コマに見えたと思えば、次の瞬間には深刻な一言を言い出しそうにも見える捉えるのが難しい絵画でもあります。

 

それではこの表情が変わっていく秘密や、少女のモデルなどについて迫っていきましょう。

 

 

表情が変わっていく秘密

光の当たり方や見る方向によって同じ絵画でも見え方が変わることはしばしばありますが、「真珠の耳飾りの少女」が他と違っているのは同じところから見ていても表情が変わっていくという点です。

 

パッと見た瞬間は普通の少女が日常の中でふと振り返っているだけですが、次の瞬間には別れを切り出す直前に見え、しかし口元に目をやると微笑んでいるように見えなくもないのです。

 

変わり続ける表情を捉えきれずに疲れ、視点を顔から逃してやると大きな真珠が変わることのない光を反射し続けています。

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この少女の表情が変わり続けて見えるのには、2つ理由があると思います。それは、

①眉がないこと。

②目の光が不自然に入れらていること。

という2点です。

 

そして表情が変化する上で特に重要な点は、②の目に入れられた不自然なハイライトにあります。

 

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フェルメールは「光の魔術師」と呼ばれるほど光を研究し、その扱いに長けた画家でした。

 

フェルメールは光を扱う上で、光が「写実的であるか」よりも、「見る側に与える印象」を重視 しています。

 

例えばこの絵画の真珠の周りをよく見てみると、本来真珠は影になってしまう場所にあり、光が反射するのは不自然だと分かると思います。

 

あえて真珠にハイライトを入れることで、この絵画に面白みを足しています。

 

同様に、目にも不自然な光の粒が描かれています。 本来反射すべきところからズレたところにハイライトを入れることでフェルメールは少女の表情に揺らぎを演出したのです。

 

 

美しいターバンのブルー

フェルメールの絵画を見ていくと、よく美しい青と黄色がセットで使われていることに気がつきます。

 

「真珠の耳飾りの少女」でも、美しい青がターバンに使われていますね。

個人的にはしばしば使われている赤が好きなのですが、特に面白い話もないのでここでは置いておきます笑。

 

 

このブルーはウルトラマリンブルーといい、日本語でいうところの群青色にあたる鮮やかで美しい青をさします。

 

ウルトラマリンブルーは「海を越えてきた青」を由来としています。

この顔料は欧州から遠く離れたアフガニスタンでしか取れないラピスラズリという鉱石を原料として作られていました。

当時は金と等価で取引されるほどの高級画材で、裕福であったフェルメールがよく好んで使っため「フェルメール・ブルー」とも呼ばれています。

 

 

モデルの正体

最後にこの少女のモデルについて考えていきます。

 

一説にはフェルメールの娘のうちの一人とも言われていますが(フェルメールには11人もの子供がいた)、トローニーだというのがより一般的な説です。

 

トローニーとは、特定の人物をモデルとするのではなく、想像で人物を描いた作品のことです。

 

実際の人物を描く際には、その人の名誉や尊厳を守ったりと画家に一種の制約が課されます。

描かれる方もせっかく描くならちゃんと描いて欲しいと思うものです。王族や貴族ならなおさら制約が厳しくなりますね。

 

一方トローニーであれば画家がある程自由に人物を描くことができます。

この絵の少女が正面を向いていないのも、少女がトローニーであると考えられる理由の一つです。

 

 

まとめ

「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞する上でのポイントをまとめると

①「光の魔術師」だからこそ出来た、目に不自然なハイライトを入れることで表情が変わって見える仕組み。
②ターバンの青は貴重な「フェルメール・ブルー」
③少女の正体はトローニー

になります。

 

このように絵画の秘密を知ることでより鑑賞が楽しくなってきます。

もし「真珠の耳飾りの少女」を見る機会がありましたら、参考にしてみてください!



作者であるフェルメールについてはこちらで詳しく解説していますので、合わせてどうぞ。
www.artbook2020.com