本と絵画とリベラルアーツ

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2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【何気ない幸せの断面】岡本真帆『水上バス浅草行き』

オススメ度:★★★★☆ 水切りの石跳ねていく来世ではあなたのために桃を剥きたい(p.49) 岡本真帆『水上バス浅草行き』 本書のエッセンス・何気ない幸せの断面を切り取った短編集・短い文章から情景が浮かび上がってくる・おだやかなテンポで読める 感想 西日暮…

【第170回芥川賞受賞作】九段理江『東京都同情塔』

オススメ度:★★★★☆ 民主主義に未来を予測する力はない。未来を見ることはできない。私には未来が見える。(p.10) 九段理江『東京都同情塔』 あらすじ 舞台は現代の日本から少しだけ別れたパラレルワールドで近未来。 ザハ・ハディドの新国立競技場が建設され…

【明代の処世術】洪自誠『菜根譚』

オススメ度:★★★★☆ 苦心中、常得悦心之趣、得意時、便生失意之悲(p.95) 洪自誠『菜根譚』 本書のエッセンス・儒教・道教・仏教から生まれた処世術・前集222段・後集134段から成る・対句の特徴を持つ 概要 明末の思想家・洪自誠によって書かれた処世術の本。 …

【本の紹介】J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』

オススメ度:★★★☆☆ それに、僕もいくらか休暇がほしかったし。神経がすり切れちまってたんだもの。ほんとだよ。(p.82) J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』 あらすじ 単位を落としペンシルヴァニアの高校を退学となったホールデン・コールフィールド…

【芥川賞受賞作品】鈴木結生『ゲーテはすべてをいった』

オススメ度:★★★★☆ それは許されないことだった。今まで統一が学者として積み重ねてきたものを一遍に崩壊させかねないことだ。(p.93) 作者『ゲーテはすべてをいった』 あらすじ 独文学者・博把統一は自身の結婚記念日に娘に招待してもらった食事会で、偶然テ…

【政治からディズニーまで】ラテン屋さん『世界はラテン語でできている』

オススメ度:★★★★☆ ラテン屋さん『世界はラテン語でできている』 本書のエッセンス・ラテン語は知的好奇心を刺激する最高のコンテンツ・ファシズムとファスケス・ディズニーに関するラテン語もたくさん 感想 知的好奇心が刺激されるというのはどういったとき…