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【パリ5泊灼熱旅行 #1】花の都に魅せられて

気象庁は2025年7月を1898年の統計開始以降の7月でもっとも暑い7月であると発表した。

8月5日には群馬県伊勢崎市で国内観測史上1位となる41.8℃を観測。連日の酷暑に耐えかね、友人と向かった先はこれまた記録的な猛暑にあえぐパリであった。

 

【パリ5泊灼熱旅行 #1】花の都に魅せられて

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昼過ぎに東京を出発し、台北を経由してたどり着いた憧れの都市・パリ。長すぎるフライトは時間の感覚をリセットさせ、もはや時差ボケさえ忘れていた。

到着した時パリはすがすがしいほど晴れた朝だった。

 

花の都に魅せられて

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空港を出て、ホテルに荷物を預けるため地下鉄の駅から初めてパリ市街の地上に上がった時、そしてその後パリのどこへ行っても感動し続けたのはパリの街がどこでもパリであったという事実である。

 

例えば京都に旅行で訪れたとして、"京都らしさ"を感じられるのは観光地の中心とその周辺の一部に限られる。京都内のいえど、現代において古都として写真に収めたい景色は断片的にしか存在せず、残りのほとんどの空間は近現代の日本の風景に取り込まれている。

つまり象徴的な景色というのはあくまで観光向けに保存された展示であり、市井の人々の息づいた生活と統合されるようなものでないと思い続けていた。

 

しかしパリはこの観念をみごと打ち砕いてくれた。

私がパリで泊まったホテルはパリ9区にあるリーズナブルな小さな宿であった。

その比較的安い価格や立地が中心からはずれていることから、渡仏前にはそこまでホテル周辺の景観に期待はしていなかった。また空港からホテル最寄り駅までの電車やメトロの駅もお世辞にもきれいとは言えなかったことから、その時点ではパリの景観に対する期待値が自ずと下がってもいた。

 

しかしひとたび地上に出ると、その考えは簡単に覆った。そして目に入る全ての景色に感嘆の声がでるほど感動した。

ベージュがかった白い石の建築、ひさしを伸ばしたおしゃれなカフェ、2階のベランダに飾られた花たち。石畳の道では貴婦人が犬を連れ散歩し、街角には小さな凱旋門が街を見守るように鎮座している。

そこはまぎれもない憧れ続けたパリの街であった

 

 

Carette Trocadéroで一息

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ホテルに荷物を置き、まずはエッフェル塔をきれいに見ることのできるというトロカデロ広場に向かうことにした。

 

地下鉄の駅から地上にあがるとホテル近くよりも開けた景色が目に入ると同時に、強烈な日差しが襲ってきた。眩しすぎる太陽から隠れるように思わず日傘をさす。

ふと周りを見渡してみるとフランス人は日傘をさしていないことに気が付く。時折傘をさしている人を見かけると、たいていが日本人であった。

これはスリにもいい目印になるなと思ったが、この拷問のような日差しに耐えられそうにはなかったので日傘はさし続けた。

 

エッフェル塔を目前に、友人と全会一致で考えていたのがお腹が空いたなあだった。パリに着いてからまだ何も口にしていなかった。

エッフェル塔は逃げないので、まずはマカロンの購入がてら近くのカフェで軽く食事をすることにした。

 

訪れたのは駅から徒歩2分ほどのCarette Trocadéro(カレット トロカデロ)というカフェ。

人気店らしく店前には入店待ちの行列ができており、その列は隣のカフェを超えて続くほどであった。

あまりに人気なのでマカロンだけテイクアウトできないか忙しそうな店員に尋ねるとOKとのことだった。テイクアウトでの購入の場合には直接店内のカウンターに行き注文すればよいとのこと。

tabelog.com

 

テイクアウトについて尋ねてはみたが、せっかくなのでイートインの列で待つことにした。店内が広いためか意外にも列はスムーズに進み、20分ほどで入店することができた。

店内中ほどの席に通され、テーブルがセットされる。店名が入った紙ナプキンがかわいい。

満席ゆえ店員も慌ただしく、店内とテラスを忙しなく行き来している。そのため注文をしようにもなかなか捕まらない。何人かにアイコンタクトを送り、3人目あたりでやっと「今行く」と反応をもらえた。

 

注文は人気のチョコレートドリンクとクロワッサンとオニオンスープにした。

楽しみに待っていると再び店員が来て、あいにくクロワッサンはちょうど売り切れてしまったとのことだったので代わりにピスタチオのケーキをもらうことにした。

 

チョコレートドリンクには山ほど生クリームが付いてきた。見た目はかわいいがチョコレートドリンク自体にそれなりの重さを感じるので入れるとちょっときつい。

ポットには意外とチョコレートドリンクが残っており、飲み進めるのが若干辛くなる。

そんなとき甘ったるくなったところに塩気のしっかり感じられるオニオンスープがいい仕事をしてくれた。

 

 

エッフェル塔と観光地独特の興奮

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お腹も満たされたので本命のトロカデロ広場に向かった。

 

信号を渡り開けた広場に出ると、「これを見よ」と言わんばかりの勢いでエッフェル塔が目に飛び込んできた。

 

サイズは東京タワーとトントンのはずだが、あたりに高い建物がなく見晴らしが良いためかなり大きく見える。

多くの観光客が訪れてはいるが広場が広く空間にゆとりがありそれほど密には感じない。そのゆとりでは黒人の物売りが灼熱のなか大きなシートを広げ、エッフェル塔のミニチュアやサングラスを売っている。

たまに押しに弱そうな観光客が物売りに声をかけられたまま困っている様子がみられた。

 

エッフェル塔そのものに対して何か特別な思いや感動があったわけではないが、「観光地に来た」ときに現れる独特のニュアンスが濃く濃く感じられた。

 

このニュアンスとは、後から対して見返すわけでもないのにカメラを構えてしまったり、シンボルの前で柄にもなく変なポーズを取ってしまったり、帰ってから後悔するしょうもないお土産に興味が湧いたりという"それ"である。

単純に言えば自然と「浮かれていた」のである。

 

ど定番の観光スポット、写真の撮りやすい高台、多くの観光客、チープな物売り。

観光地として揃いすぎているこれらの要素が、独特の興奮を助長させているのかもしれない。

 

トロカデロ広場からエッフェル塔側へは降りて近づくことができた。よく整備された緑豊かな道には寝っ転がり本を読む人や犬の散歩をしている人、アイスキャンディーを舐める子どもなどそれぞれが思い思いに過ごしゆったりとした時間が流れていた。

 

エッフェル塔の足元にはまだ2024年のオリンピックのモニュメントが残っており、なんの関係もないが並んで写真を撮ってきた。

塔の真下へはずっと回り込まないと行けないようで、我々はそこで諦め踵を返すことにした。

 

 

タイトル④凱旋門とシャンゼリゼ

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再びメトロに乗り、エトワール凱旋門とシャンゼリゼ通りに向かった。

 

観光スポットの中には写真の方がよかったというところも多々あるが、エトワール凱旋門は近くで見ておいてよかったなと思った。想像していたよりずっと分厚く重厚感があり、パリの街の雰囲気を中心で支えるだけの度量が感じられた。

 

シャンゼリゼはまさにパリの銀座という感じで、高級ブランドやブティックが並んでいた。大きな木が歩道と車道を隔てており、それらの木々が心地よい木陰を作ってくれて歩きやすかった。

高級店だけでなく小さな書店やクラブチームのお店、マクドナルドなんかも入っていた。通りかかった小さな書店ではハードカバーの『オペラ座の怪人』を土産に買った。

 

曲の「オー・シャンゼリゼ」のシャンゼリゼ通りは軽やかで繊細なイメージを持っていたが、実際のシャンゼリゼにはもう少し資本力じみたものを感じた。どちらも好きだけれども。

 

 

Fouquet'sでアップルパイを

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疲れたのでカフェに入りお茶をすることにした。

凱旋門からシャンゼリゼ通りをまっすぐ進んでいくと、ちょうどルイ・ヴィトンのあるあたりに綺麗な赤色のひさしのカフェが見えてくる。

「予約はないが入れるか」と尋ねると、少し確認したのちすぐに中に案内してくれた。

 

中はカフェながらハイソな雰囲気で、どちらかといえばレストランのような空間だった。奥にはバーカウンターがあり、その横の壁にはフランスの著名人のモノクロ写真がずらりと並んでおり歴史と威厳を感じさせる。

白いジャケットを羽織った店員たちの所作も洗練されており、まるで自分らが偉くなったかのような錯覚と自分らなんかがこんなところに居てよいのだろうかという相反する感覚に陥った。

 

真紅のメニューを開くとフランス語とともに英語が併記されていて安堵した。しかしちらりと金額に目をやると二度見する程度にはそれなりのお値段が目に入る。正直一瞬怯んだが、この場は一旦忘れることにした。

 

友人らと何種類かのデザートをシェアして楽しんたが、なかでも絶品だったのがアップルパイである。

10cmほどはある分厚い木製の台に乗ってきたアップルパイは花のように美しく、一口食べるとりんごの上品な甘さ口いっぱいに広がる。アメリカのパイのようなくどい甘さはまったくなく、控えめながら香りがとても強く驚いた。パイのなかではこれまでの人生で一番だった。

会計は一人7,000円くらいだった。高いが満足。

 

 

モンマルトル・オペラ・マック

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パリの日は長い。とても長い。8月の日没は21時ごろで、19時でもまだまだ明るい。

一日中炎天下で歩き回りとうに疲れているはずなのに、旅行初日のテンションとまだまだ明るい日差しで疲労が麻痺して歩けてしまう。

 

19時ごろからモンマルトルの丘をのぼった。

さくらももこのエッセイでモンマルトルの丘で出会ったアマチュアの画家のはなしがあったので、今でもたくさんの芸術家があちらこちらにいるのかと期待したが、残念ながら見つけられなかった。

 

汗を滝のようにかきながら、なんとか登りきる。

モンマルトルの丘の一番高いところからはパリの街を見下ろすことができ、たくさんの観光客で賑わっていた。ここでも南京錠を買ってぶら下げておく文化もあるようで、野良の物売りがあちらこちらで南京錠を売っていた。

たいていの南京錠は見晴らしのよい柵に付けられていたが、疲れて妥協したのか中途半端なところにぶら下がる南京錠もなんだか可哀想で面白かった。

 

丘を降りる頃には日も暮れかけ、重厚な建物に挟まれた道は暗がりになろうとしていた。気付けば昼には見かけなかった層の人々が闊歩し、なんとなく治安の悪さを感じて駅へ急いだ。

 

帰りにパリではよくみかけるスーパーのモノプリで夕食と朝ごはんを買う。それほどたくさん買ったつもりはなかったが、すんなり5,000円を超えてしまい、改めて物価の高さを思い知らされた。

 

ついでに寄ったスタバのオペラ店は圧巻だった。

これまでもご当地の建物を生かした洒落たスタバはいくつか見てきたが、オペラ店は煌びやかさと豪壮さを兼ね備え、それ自体が観光地になってもおかしくないほどのすばらしさだった。

それにも関わらずそれほど混雑していなかったのはパリの周りの諸建築がそれ以上に素晴らしく、もはやパリ市民からすれば見慣れた光景のひとつに過ぎないからであろう。

 

寄り道しながら帰り、結局ホテルに着いたのは日付が変わる頃になっていた。

そのまま寝てしまうのが良かったのかもしれないが、後半冷めやらぬままだったのでぶらりと周辺を見て回った。

 

散歩ついでに近くのマックで小腹を満たしたが、パリのマックはなかなか酷かった。

ペラペラで小さなチーズバーガー、塩気のないポテト、甘味料を炭酸で割っただけのようなジュース、どれもが舌の痺れるような不味さだった。

パリはどこもすばらしいが、マクドナルドはお勧めしない。