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政府がお金を上手にばらまく方法【経済の話】

消費増税が行われてから3ヶ月が経とうとしています。

みなさんの懐具合はいかがでしょうか?

 

政府は消費の冷え込み対策として、キャッシュレス決済時にポイント還元を実施し、19年度予算・補正予算合わせて4300億円を投じました。

街の店を見渡してみると、かなり多くの店舗でポイント還元が受けられ、政策が広く行き渡っていることがわかります。(地方の方はあまり行かないのですがいかがでしょうか?)

 

この政策はキャッシュレス決済の促進に一役買ったと思います。

PayPayに限って見ても8月7日時点での登録者1000万人から、わずか100日ほどでさらに1000万人増えるという驚異の普及をみせています。

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参照:https://about.paypay.ne.jp/pr/20191118/02/

 

この政策はとても良いと思ったのですが、

もっと効果的にお金をばらまくことができるのではないか?というのが私の意見で、今回のお話になります。

 

お金を上手にばらまく方法

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私が提案する政策は、インフレ目標が達成されるまで、一括補助金として全国民に一定額(有効期限付き)を電子マネーでばらまくというものです。

 

この政策では以下の4つの効果が期待できると考えています。

・電子決済が進む
・オンラインサービスの成長
・物価上昇への期待を促す
・マイナンバーの活用が進む

それでは一つずつ解説していきます。

 

 

電子決済が進む

まず第一に電子決済が今以上に普及するようになります。

 

キャッシュレス決済時のポイント還元によって今までキャッシュレス決済を使っていなかった層にもサービスが浸透してきましたが、まだまだ機械に疎い人や現金至上主義の人々まで光が届いていないのが現実です。

 

なにより慣れていない人にとってキャッシュレスサービスの登録はめんどくさいものでしかありません。

人間は私たちが思う以上にめんどくさがりです。

検索するのですら手間でしかありません。

 

そういった人々をナッジ(強制することなく行動を促すこと)してやるためには、エネルギーを与えてやる必要があります。

 

ばらまきは、めんどくさがり屋に対し登録のインセンティブを与えてやることに繋がります。

さらに有効期限を設けることで、より強いナッジを与えることができるのです。

 

 

オンラインサービスが成長する

この政策に対する批判として、機械に疎い高齢者が置いてけぼりになるのではないか?というものが考えられます。

 

この批判はまさにその通りで、補助金を受け取れぬまま受け取り期限が切れてしまう高齢者が多数生まれてしまうと思います。

デジタルデバイド(情報格差)の面で不公平が生じることは、この政策の大きな弱点であります。

 

しかし、この政策ではこの弱点をあえて残すことで、社会全体でより良い効果を狙っていきます

 

 

日本でオンラインサービスが成熟しきらない原因の一つには、高齢者が主たる消費者であるという現実があると考えます。

2018年のデータでは国内消費のおよそ半分が、60歳以上の高齢者によって占められています。(29歳以下はたったの1.5%)

 

消費の半分を占める高齢者、一方端数程度の消費量の若者。

あなたが経営者なら、どちらに向けて商品をつくりますか?

 

消費の中心が高齢者であるとき、当然ながら世の中には高齢者向けのモノやサービスが増えることになります。

高齢者向けに商品を展開するとなると、目新しかったり革新的であるものより分かりやすく昔からあるものが中心となります。

 

高齢者の顔色を伺って商売をしていれば、いつまで経っても日本のIT分野が伸びきらないのもうなずけますよね。

 

話を政策に戻します。

始めに話した通り、この政策ではキャッシュレス決済を使える人だけが恩恵を受けることができます。

すなわち、新しいサービスを受け入れられる人(主に若者)のもとに購買力を直接与えることができるのです。

 

国内の消費力の構造が変化すれば、売る側の姿勢も変わってきます。

今まで高齢者をメインターゲットにしていた企業が、設備投資を行いオンラインサービスに力を入れるようになります。

 

この政策により消費の中心となる層を若返らせ、企業には設備投資を促し、結果としてオンラインサービスを成長させることが期待されるのです。

 

 

物価上昇への期待が起こる

安倍政権はかねてより、長きにわたるデフレの脱却を目指し異次元の金融緩和を進めてきました。

その甲斐あってか2017年からは3年連続で物価の上昇を記録しています。

 

しかし上昇してるとはいえその上昇率は1%未満であり、目標である2%には及ばないのが現実です。

 

消費者であるわれわれからすると物価は上昇しないほうがありがたいですよね?

そもそもなぜ政府は物価の上昇を目指すのでしょうか。

その理由を2つ解説したいと思います。

 

①デフレスパイラルに陥る

まず一つ目は、デフレ下においては消費が冷え込むというデメリットがあります。物価が下がるということは企業の儲けが減ってしまうことに繋がります。儲けが減った企業は社員の給料を減らすか、悪いときにはリストラをします。

社員というのは私たちのことであり、つまるところの消費者であるので、デフレは結果として消費の減少につながってしまいます。

これをデフレスパイラルと言います。

 

②国の借金が増える

これはあまりピンとこないかもしれません。

しかし経済学の基本理論であり、重要なポイントでもあります。

 

この部分を理解するのに最大のポイントは、物価の変動によってお金の価値が相対的に変化することにあります。

 

1万円には1万円分の価値がありますね。

しかし物価が変動すれば、1万円で買えるものの量は変わってしまいます。

 

今では50円ぽっちではほとんど何も買えませんが、1941年ごろの日本では教師の初任給が50円だったと言われています。今の感覚では考えられない水準です。

 

なぜこんなことが起こるかといえば1941年当時から物価が大幅に上昇したからです。

物価が上昇すれば、相対的にお金の価値は下がります。

 

すなわち、インフレによってお金の価値が下がり、デフレによってお金の価値が上がるわけです。

 

借金の話に戻すと、デフレが起こった場合には借金が相対的に増えてしまうことになります。

そうすると、現在1100兆円もの借金を抱える日本にとってデフレはとんでもない痛手になるわけです。

また実質金利も物価が下がった場合上昇してしまいます。

 

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こうした理由から、政府はできるだけデフレを抑えインフレに誘導しようとします。

 

では、どうすればインフレが起こるのでしょうか?

 

インフレを起こす上で重要なのは、国民がこれから物価が上がるだろうと予想することです。

 

その仕組みは、まず物価が上がるとすると企業の利益が増えます。企業が儲かるようになれば社員の給料が上がると予想されます。給料が上がれば、需要も上がります。需要が増えると、物価も上がるのです。

 

つまり、物価が上がると人々が予想することで、本当に物価が上がると経済学では考えます。

 

 

政策について再び考えていきましょう。

私が提案した政策は、インフレ目標が達成されるまで、一括補助金として全国民に一定額(有効期限付き)を電子マネーでばらまくというものでした。

 

ここでのポイントは、インフレ目標が達成されるまで金をばらまき続けるというところにあります。

 

金が直接ばらまかれている状況は、給料が増えている状況と同じです。給料が増えれば、需要(購買力)は増加すると考えられます。(考えられるということが大切なのです。)需要が増えると予想することは物価上昇への期待が膨らむということになります。

 

こうして膨らんだ物価上昇への期待によって、本当に物価が上昇すると考えられるのです。

 

まとめると、ばらまき→実質所得の増加→需要の増加→物価の上昇ということになります。

 

 

マイナンバーの活用が進む

この政策の難関は、導入するのに技術と管理コストを要するという点です。

私も国が一括して個人のデータを上手く操作し管理する能力を持っているとは到底思えません。

 

だからこそ、これを機に本腰を上げて個人データを効率よく管理する手段を構築すべきではないでしょうか。

この政策はマイナンバーを価値あるものにする大きなチャンスになると思います。

 

ここでスムーズにマイナンバーと補助金の交付を結びつけ不祥事なく管理することができれば、国のデータ管理の信用が一気に上がるはずです。

 

マイナンバーがうまく普及させられれば国の税収も増え、全体にいい効果をもたらすでしょう。

 

 

まとめ

以上が私が提案した政策、インフレ目標が達成されるまで、一括補助金として全国民に一定額(有効期限付き)を電子マネーでばらまくというものの解説でした。

改めてまとめますとこの政策よって、

①キャッシュレス決済導入に対して強いインセンティブを起こすことによって電子決済がより普及する。
②若者の購買力が上がりオンラインサービスが成長する。
③実質所得の向上によって物価が上昇する。
④国のデータ管理システムが更新されマイナンバーにも意味が与えられなおす。

というのが私の考えです。

正確なデータやモデルに基づいたわけでもなく、あくまで私の拙い知識の中で生まれた一意見です。

未完成ではありますが、もし経済を考える上で参考にしてくだされば幸いです。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。