本と絵画とリベラルアーツ

※弊サイト上の商品紹介にはプロモーションが使用されています

【本の紹介】松原隆彦『文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る』

オススメ度:★★★★☆

小さい頃、毎週欠かさずドラえもんを見るのが日課でした。

ドラえもんの人気の秘訣は、魔法じゃなくて科学だからじゃないでしょうか?魔法にはない科学の「いつか本当に出来るかも」という期待が、私たちを引きつけます。

 

どんな本か?

本のタイトルにもなっている通り、身の回りの現象や宇宙の話が文系にもわかるよう数式を用いず簡単に解説されています。

序盤は株価や雲の話など身近な話が続きますが、後半は量子論の話が大半を占めています。

 

この手の本にありがちな世間で知られている現象の網羅本ではなく、特殊相対性理論と一般相対性理論の違いなど、一見するととっつきにくい専門的な内容までもを分かりやすく解説してくれている。

 

 

面白かった話4つ

①携帯電話の波長は10cm〜100cmほどあり長いため、障害物を避ける(回折)することができる。

 

②「超ひも理論」が注目されているのは、物理学の4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)を統一的に説明できる可能性が生まれるから。

しかし有効な実験方法が見つかっていないため、仮説のままとなっている。

 

③月の重力のおかげで地球の地軸の傾きは安定している。

 

④ある物理学者によれば、量子コンピューターの計算速度が速いのは多世界を使って計算しているからであり、量子コンピューターができれば多世界の存在の証明になるという。

 

感想

本の雰囲気から内容は薄いだろうと期待していなかったのですが、読みやすいながらも知らないことが多く(特に量子論)楽しめました。

量子論の話は十分に理解しきれないところもありましたが、確率の波の話はとても興味深く是非とも勉強してみたいと思います。

 

もう一つ感心したのが物理学と哲学の関係です。

ブラックホールの名付け親でもある物理学者が「人間が宇宙を観測したから、この宇宙が存在できるようになった」と主張しているというのをこの本で読んで、畢竟学問というのは突き詰めれば哲学なんだなと感じました。