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本と絵画の解説

【本の紹介】植木理恵『シロクマのことだけは考えるな!』

オススメ度:☆☆☆

 

近年の心理学ブームのはしりになった『シロクマのことだけは考えるな!』。

氾濫する初心者向け心理学書よりは、科学的な説明がなされている。

心理学に興味を持つには丁度いい本だが、多少なりともかじったことがある人には物足りないボリュームになっている。

 

実用的な心理学が並ぶ中でいくつか興味を引かれたものがあるので、紹介する。 

 

忘れようとすればするほど忘れられない

 

人は誰しもつらい思いをどこかに抱えているが、もしそれを忘れようとしているのであれば逆効果である。

人間は、忘れようとすればするほど忘れられないようにできている。

 

この本のタイトルである「シロクマのことだけは考えるな!」はまさにこの事実を検証した実験からとったものである。

その実験とは、グループを3つに分けそれぞれに、「シロクマのことを覚えておけ」「覚えていても忘れてもどちらでもよい」「シロクマのことだけは考えるな!」と伝えて一年後どれだけ覚えていられたかを検証した。

その結果、「シロクマのことだけは考えるな!」と支持されたグループが一番克明に記憶をしていた。

 

この実験から分かる通り、人間は無理に忘れようとすればするほど記憶に刷り込まれ、忘れられなくなってしまう。

 

むしろ忘れたい場合にはその事実に飽きるまで向き合うのが効果的だという。

 

また同様に従来悲しいときには楽しい音楽を聴くことでメンタルが回復すると考えられていた(気分一致効果)。

実際はこれは逆効果であり、気分がマイナスの状況においては悲しい音楽やテレビを見たほうが回復への近道であるそうだ。

 

 

感情の言語化は真の感情を隠してしまう

心理学では、自分のレベルの浅い感情を言語化することは真の感情に気づく妨げになると考えられている。

 

自分が何かを見てステキ、かっこいいと思ってメモに書きとめたとしてもそれは浅いレベルの感情に過ぎず、実際にはもっと深い感情が自分の中に存在している可能性がある。

 

あえて感情を書きとめないことで自身のより深い感情に気づけるかもしれない。

筆者は、メモを取る際には客観的な事実だけを書きとめておくことをおすすめしている。

 

 

ムチは逆効果

人を指導する上でアメとムチを使い分けることは常識だと考えられているが、実際には

それらは間違いかもしれない。

 

ムチを使って指導することは逆効果になってしまうことが懸念されている。

ムチは何かを刷り込ませるために、また罰として使われることが多い。しかしムチによって刷り込まれるのは恐怖であり、何かの習得には向いていないかもしれない。

ラットを使った練習では、ムチとして電流をつかったグループのラットは学習レベルが下がってしまった。

 

またアメの方にも使い方にコツがある。

実験では毎回アメを与えてしまうと意欲が下がってしまうことが報告されている。

あえてたまにアメを抜くと効果が上がるとされ、その頻度はおよそ5回に1回抜くのが良いとされる。

 

会議では敵のとなりに座った方がいい

会議の席 スティンザー効果

対面 → 意見に反論しやすい → 味方は対面

横並び → 同調しやすい →  敵は隣

 

人は自分のことを言い当てられたい

自分のアイデンティティを確立させたい

→人は自分のことを言い当てられたい。

二面性提示  +  断定 が効果的

 

シロクマのことだけは考えるな!―人生が急にオモシロくなる心理術 (新潮文庫)

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