マネの絵画の中でも特によく目にするのはこの「笛を吹く少年」ではないでしょうか。
「笛を吹く少年」はマネの特徴をよく表しており、マネを知る上でとても参考になる作品です。
「笛を吹く少年」に詳しくなることで、マネという画家についても知っていきましょう。
マネ「笛を吹く少年」を理解するポイント
・ジャポニスムから影響を受けた平面と輪郭
・巨匠ベラスケスから受け継いだ背景表現
マネ「笛を吹く少年」は日本にどう影響を受けたのか
マネの絵の中で最も有名なのはこの「笛を吹く少年」ではないでしょうか。
なぜマネの中でこの絵が一番有名になったのでしょうか。この絵が人気である理由の一つは日本の影響を大いに受けたとうことにあります。
マネが活躍した時代には開国したばかりの日本文化が欧米に急速に広まり、ジャポニスムと呼ばれる一大日本ブームが訪れていました。マネはジャポニスムに関心を寄せた一人で、その影響はマネの多くの作品に残されています。以下で具体的なジャポニスムの影響と尊敬するベラスケスについて解説していきます。
ジャポニスムの影響①:平面的な描写
マネはジャポニスムの影響を多大に受けた画家でした。その中でも特に影響を受けたと考えられるのが平面的な表現の浮世絵です。
ルネサンス期以降、ヨーロッパでは遠近法を基軸とした立体的でリアルな表現が好まれてきました。一方の日本の浮世絵は現代の漫画に通ずる平面的な表現が特徴です。
この作品では浮世絵の影響を受け、あえて人物の影を最小限にとどめることで平面的な描写に仕上げています。
ジャポニスムの影響②:力強い輪郭
もう一つ、「笛を吹く少年」の中で日本の影響を感じるのが人物の輪郭が力強い筆遣いで描かれていることです。輪郭がはっきりとした筆遣いで描かれているのも浮世絵の特徴の一つで、それまでの西洋絵画では珍しいことでした。
マネはかねてより人物にフォーカスした絵画作りを目指しており、人物を際立たせる手法の一つとして浮世絵の独特な力強い輪郭の縁取りが採用されました。
巨匠ベラスケスから受け継いだ背景表現
何もない、わずかな影だけで背景を表現し人物を際立たせる手法はマネが最も尊敬するスペイン画家ベラスケスから受け継いだものです。
1865年のサロンに出品した「オランピア」が批判の嵐にさらされた後マネは、心を癒すためにスペインへ旅行へ出かけました。マネは小さなころよりルーブル美術館に足しげく通い昔からスペイン絵画に関心を持っていましたが、このスペイン旅行で出会った絵画は彼の人生に大きな影響与えました。
マネが手紙の中で最も賞賛しているのがこの道化師を描いた肖像画です。
わずかな影で背景を表現することによって、見る人の意識を人物に集中させるように描かれています。マネはこれを「背景が消え、空気が人物をとり囲んでいる」と表現し、生涯の研究テーマとしました。
この背景を省略し人物を強調する手法は、巨匠ベラスケスより受け継いだものでした。
おわりに
「笛を吹く少年」はマネが影響を受けた浮世絵とベラスケスの面影を色濃く感じられるマネを知っていくうえでとても意義ある作品でした。
これらの特徴はマネの他の画でも見ることができるので、これからマネの絵を見る際には注目してみてはいかがでしょうか。
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