本と絵画とリベラルアーツ

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【画家の紹介】エドガー・ドガ【印象派】

バレエの風景を多く描いたことでしられるドガ。伝統的な絵画を学んでいたドガは印象派のメンバーと行動をともにしながらも自らが印象派だと言われることを嫌いました。

 

ドガの傑作を紹介しながらその特徴を解説していきます。

 

ドガを理解するポイント

・正統なる美術学校出身
・現代生活の古典画家
・計算されつくした一瞬の描写

 

現代生活の古典画家:エドガー・ドガの紹介

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「リハーサル」 1874年 バレル・コレクション

 

バックグラウンド

ドガは1834年パリで生まれました。

ドガの父は銀行員で、もともとは新興ブルジョワという恵まれた家庭で育ちました。

 

ドガは21歳の頃国立の美術学校に入学し、古典芸術をしっかりと学びました。ドガはルネサンスや新古典主義の巨匠であるアングルを尊敬し、研究を続けました。

ここで身に付けた古典主義の基礎は、のちのドガの印象派らしくない面をつくり出していきました。

 

 

ドガの印象派らしくない点

印象派の特徴は屋外でキャンバスを並べ、筆触分割という手法を用いて自然の光を見たままに描き出す点にあります。

 

しかしドガは屋外で絵画を描くことも、筆触分割も否定してしまいました。

 

これにはそれぞれ理由があり、まず屋外で制作をしなかったのは普仏戦争がキッカケと言われています。

ドガはこの戦争に駆り出された際に寒さにより羞明(眩しがり症)を発症してしまい、屋外に長くいることができなくなってしまいました。このため他の印象派のように自然のなかで絵を描くことができなくなってしまいました。

 

また印象派を特徴付ける"筆触分割"を否定したのは、ドガが正当な美術教育を受けていたことが原因だと考えられます。

 正統な美術教育を受けたドガにとって、外で描いてそのまま完成とする印象派たちの作品は未完成な下絵にしか見えませんでした。実際仕上げを重視するドガの絵は、配置や構図など何度も描き直されていました。

 

筆触分割についてはこちらの記事で解説しています。

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2019年9月の読書結果

予定がぎっしり詰まった9月はあっという間に過ぎていきました。出かける用事が多くあまり本は読めませんでしたが、出かけるときには必ずリュックに2冊ほど本を忍ばせておくことは欠かさずにいました。

10月はもっと読めるといいなあ。

 

『さくらえび』

著:さくらももこ / オススメ度:☆☆☆☆☆

ちびまる子ちゃんの作者でおなじみのさくらももこさんのエッセイ。

『あのころ』はさくらさんの子供時代の思い出がメインでしたが、この作品では主にシングルマザーになってからの思い出が語られています。

 

父ひろしのマイペースぶりも健在で、母親が本当はさくらももこではないか、と疑っているお子さんの純粋っぷりも読んでいてとても微笑ましいです。

さくらももこのエッセイ力がずば抜けているのか、さくらももこの周りの人間が極端に面白い人ばかりなのか、はたまたその両方か。

とにかく読んで笑えることは間違いないです。

 

 

『ニュートンとマルクス』

著:土井日出夫 / オススメ度:☆☆☆

不完全な文系脳と理系脳の両方を持つ経済学の教授が書いたエッセイ的な本。

著者が文転や理転をしたバックグラウンドや、文系・理系それぞれの独特な思考について書かれている。

 

『ぼくは愛を証明しようと思う』

著:藤沢数希 / オススメ度:☆☆☆☆

 

『薩摩藩 経済官僚』

 著:佐藤雅美 / オススメ度:☆☆☆

 

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『何者』

著:朝井リョウ / オススメ度:☆☆☆☆☆☆

 

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美術館にハマるきっかけ

美術館巡りにハマる人のきっかけはどのようなものがあるでしょう。

 

先日気になって美術館や絵画が好きな知人にアンケートを取ったところ、驚くことにその答えは一致していました。

 

他の理由もあるかもしれませんが、美術館にハマったきっかけについて書きました。

美術館や絵画が気になっている、趣味にしたいという方は是非参考にしてみてください。

 

こんな人におすすめ

・絵画には興味があるけれど、何から始めればいいか分からない
・美術館巡りを趣味にしたい

 

美術館にハマるきっかけ

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本物の絵画を見ること

絵画に興味を持つきっかけは様々でも、美術館に通うようになるのは巨匠の本物の絵を見ることがきっかけになることが多いです。有名な絵でも、写真で見るのと本物を見るのとでは大きな違いがあります。

これには2つ理由があると思います。

 

一つ目は本物の絵画そのものが放つ存在感です。普通展覧会が開かれたり、有名な美術館に置かれるような作品は何十年、何百年も評価された作品ばかりです。

"古典"というのは絵画に限らず何か"すごみ"を放っています。そういった本物のすごみに触れることは、絵画鑑賞に引き込まれる大きな要因になります。

 

二つ目は美術館自体の雰囲気です。絵画が好きだという人は、美術館の雰囲気自体が好きな人が多いです。

落ち着いた荘厳な建物の中で、ゆったりとした時間を楽しみことができます、

 

 

私が美術館にハマったのはブリューゲルの「バベルの塔」を見たのがきっかけでした。大学受験の時に模試でこの絵が出ましたが間違えてしまい、悔しさから見に行きました。

 

私の知人が美術館巡りにハマったのも、ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」を見たことでした。

 

絵画は美術館に足を運び実際に見ることでその本当の良さがわかります。もし絵画について興味のある方は、まずは一度美術館に行ってみましょう。

きっとその魅力にハマると思います。

 

 

今開催中のオススメの展覧会

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現在(10/2)開催中、または近々開催される特別展の中で、初心者の方にもオススメしたいものをいくつか紹介します。

知識がなくても楽しめる展覧会をそろえました!

 

ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

会場:横浜美術館(神奈川県)

開催期間:2019/9/19 〜 2020/01/13

休館日:毎週木曜日(詳しくはHPを確認ください)

ルノワール展公式サイト

 

巨匠ルノワールをはじめとする印象派の作品や、ピカソやマティスといった近代美術館の作品を見ることができます。

みんなが知っているあの作品がある!というわけではありませんが、展覧会も頻繁に開かれるような日本でも人気の画家が揃っているのでとてもお得な展覧会です。

 

ポスターにも使われているルノワール「ピアノを弾く少女たち」の別バージョンを解説しました。ぜひ展覧会に行く前にご覧ください。

 

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ハプスブルク展

会場:国立西洋美術館(東京都)

開催期間:2019/10/19 〜 2020/01/26

休館日:毎週月曜日、19/11/19、20/01/26

(詳しくはHPをご覧ください)

ハプスブルク展公式サイト

 

日本とオーストリア国交樹立150年を記念して開催された展覧会です。

この展覧会ではヨーロッパの超名家であるハプスブルク家のコレクションを見ることができます。ここで展示されるのはベラスケスやブリューゲルといったTHE・西洋絵画のようなものばかりなので、予備知識なしでも絵を楽しむことができます。

 

また会場となっている国立西洋美術館の前には有名なロダンの「考える人」が鎮座し、建物本体も2016年に世界遺産に登録されています。

常設展も充実しているので、特別展がなくても楽しめる会場となっています。

 

 

人の金で叙々苑に行けることになったので、色々調べてみた

生まれて初めて叙々苑に行ってきました。

人の金で。

タイトルは行けることになったになってますが、もう行ってきました。

 

ことの発端は何をトチ狂ったのか突如大金を下ろしてきた友人が、唐突に奢るから行かないかと誘ってきたことでした。

 

奢ってくれる決まり大喜びしていた私ですが、ふと冷静になると叙々苑について何も知らないことに気がつきました。

焼肉といえば牛角である私にとって叙々苑なんてあと10年は縁が無いと思っていたので、調べようとも思ったことがありませんでした。

 

今回はせっかく叙々苑に行けるならと、貧乏人根性で色々調べてみました。

 

こんな人におすすめ

・叙々苑に行ってみようと思ってる
・うまい焼肉屋を探している

 

叙々苑についていろいろ調べてみた

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叙々苑って実際いくらくらいかかるの?? 値段なりの味はするの??テーブルの雰囲気はどんな感じ??といった情報を叙々苑に行ったことない人向けにまとめました。

 

ちなみに私が今回訪れたのは上野不忍口店です。

 

叙々苑の値段

みなさんが一番気になるのはやはり値段じゃないでしょうか。

 

今回調べて初めて知ったのですが、叙々苑は店舗によって値段が異なります。

 

ほかのサイトを調べたところ2200円〜3000円になっていました。

しかし私の今回訪れた上野不忍口店がこのサイトではカルビが2400円になっていましたが、訪れた2019年9月30日の時点では2700円だったので少し値上げしたのかもしれません。

またこの度の増税で値段の変更もあるかもしれないので、行く予定の店舗の料金は公式サイトで確認するのが良いでしょう。

 

下の写真は叙々苑上野不忍口店のものです

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予算は上野不忍口店の場合食べログだと6000〜7999円と出ています。私は友達と2人でアルコールは飲まずに34000円程だったので、ある程度余裕を持っていった方がいいと思います。

 

 

叙々苑の店舗

叙々苑は東京を中心に北海道から沖縄まで全国に50店舗近く展開しています。

 

実は叙々苑にはワンランク上の游玄亭という店舗もあり、こちらは現在(2019.10.1時点)で8店舗が展開されています。

 

 

叙々苑の雰囲気

私が訪れた上野不忍口店はレストランビルの中にありましたが、内装はとても凝っていて素敵でした。

入り口は落ち着いた雰囲気で、高級感を感じられます。

 

席はそれぞれ低い壁でさえぎられていて、座っていると個室のように感じられます。

 

店員を呼ぶときは机のベルを鳴らすとすぐ来てくれます。網もとてもこまめに変えてくれました。

煙もほとんど気になりませんでした。

 

 

まとめ

さすが値段だけのことはあり、お肉や料理はとても満足できました。店員さんの接客も丁寧で、とても気持ちが良かったです!

 

機会があれば叙々苑のほかの店舗も比べてみたいですね。

 

【混雑】展覧会の最終日はどれくらい混んでる??実際に行ってきた

あ、今日展覧会最終日だ。見たかった展覧会が今日最終日だと言うことをCMなどで知っていくかどうか迷う時ありますよね。

見に行きたいなあ、でも絶対混んでるだろうな…。

 

人気展覧会の最終日はどれくらい混んでいるのでしょうか。2019年の9月29日まで渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた「ミュシャ展」の最終日に実際に行き、どれくらい混んでいるか確かめてきました。

 

こんな人におすすめ

・展覧会の最終日の混雑状況がしりたい
・展覧会の最終日に行くときに気を付けるポイントが知りたい

 

展覧会の最終日はどれくらい混んでる??

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結論から言うと、かなり混んでいます。私が最終日のミュシャ展を見に行く前にテレビをつけていたらミュシャ展のCMが流れていたので「これでまた混むなあ」と思いました

 

ミュシャ展の最終日は日曜日で、私が訪れた時間は13時半ごろです。

 

チケット売り場の混雑

私は前売り券を買っていなかったのでついたらまずはチケット売り場に並びました。

普段であればチケット売り場に並ぶと言うことはあまりないのですが、最終日は13時半の時点で50人ほどが並んでいました。

 

買うまでにかかった時間は20分ほどでした。

 

チケットを買ってから入場までは割とスムーズでした。もし前売り券やオンラインチケットがあればいきなり入場の列に並べるので楽だと思いました。

 

 

会場の混雑

とんでもなく混んでます(当然ですね…)。

絵画の前に列などは作られていませんでしたが、一番前の列で見ようとするとかなり時間がかかると思います。

 

会場全体が人でごった返しているので絵画の前以外も移動がとても大変でした。すれ違う余裕はないのでお互いに譲り合いながらやっとちょっと進めるくらいでした。

 

メインの絵の前は特に混雑しているので、係りの人がしきりに譲り合って少しずつ進むよう、流れが止まらないように声をかけていました。

 

小さな子どもたちはただでさえよく分からないのに、その上絵もまともに見えずにかなりストレスが溜まってしまったようで、たびたび泣き声や叫び声が聞こえました。

 

そんな中でしたがとりあえず絵を見ることはでき、1時間強ほどで一通り見終えました。

 

 

グッズ売り場は大混雑

一通りの絵を見終えホッとして会場から抜けましたが、本当に大変だったのはここからでした。

 

それなりに面積のある展示会場はまだ良かったのですが、グッズ売り場は地獄絵図でした

 

狭い通路はグッズを見る人と通りたい人でキャパを超え、レジの列は会場をぐるっと半周していました。

 

私はブックマーカーが欲しかったので探して一番奥まで行ったのですが、見つかりませんでした。

店員さんに聞くと一番手前にある教えてもらい向かったのですが、ぎゅうぎゅうに詰まった列を掻き分けて移動するのはかなり辛かったです。

 

レジには長い列が出来ていましたが、レジが4つ稼働していたのでなんとか15分ほどで買うことができました

買えた後には息苦しさからすぐ外に出しました。

 

グッズはあらかじめ買うものを決めておくほうがスムーズですね。

複数人で来てる時には誰かに並んでいてもらうのもいいかもしれません。

 

 

最終日(混雑日)に行く時のポイント

1. チケットは先に買っておくorオンラインチケット

2. 会場内では流れに逆らわない

3. 買うグッズを先に決めておく

4. 誰かにレジに並んで置いてもらう

 

最終日(混雑日)はどうしても人混みにストレスを感じてしまいますが、このあたりを押さえておくと少しはスムーズにまわれるかと思います。

混雑する日に美術館を訪れる時には是非参考にしてみてください。

 

とはいえ美術館は空いてる日に行くのが一番だと感じた1日でした。

 

 

こちらの注目の絵画もどうぞ

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【本の紹介】朝井リョウ『何者』【あらすじと感想】

オススメ度:☆☆☆☆☆☆

久々に読んでいてゾワッとした作品。初めて朝井リョウさんの作品を読みましたが、一発でファンになりました。SNSネイティブ世代の方ならきっと共感できる内容になっています。

 

この本をオススメしたい人

・就活生orこれから就活する大学生
・何者かになりたいと思っている人

 

朝井リョウ『何者』

著者:朝井リョウ(1989〜)

早稲田大学卒。2009年デビュー作『桐島、部活やめるってよ』がベストセラーに。2013年『何者』で直木賞受賞。

 

あらすじ

就職活動を目前に控えた拓人は、共通点をもった4人の仲間たちと就活に向けて集うようになる。彼らはありたい自分を演出し、そんな姿を互いに傍観しながら面接に交友に励んでいく。

就活も終盤にさしかかり勝ち組と負け組が露呈しはじめると、本音と建て前、ペルソナと自意識の境が次第に崩壊し、"仲間"であったはずの彼らの関係にも変化が訪れる。

 

感想

自分だけは自分のことを理解できていると思っていましたが、実際は何一つ客観的に見られていないことに気付かされました。作中でも他人のことは客観視できても、自分のことになると贔屓目に見てしまう人々が随所に出てきます。

どんなに冷静のつもりでも、自分だけは何かが違う、特別であるという思いは消えることはありません。そんな自意識を客観的に見つめ、受け入れることが大人になるために必要なのかもしれません。

 

 

【絵画の解説】ルノワール「ピアノを弾く少女たち」【晩年の傑作】

ルノワール晩年の傑作「ピアノを弾く少女たち」(「ピアノに寄る少女たち」、「ピアノの前の少女たち」ともよばれる)。全体的に温かみのあるタッチと色彩で描かれいて、見ていると優しさが伝わってきます。

 

優しい絵画はどのようにして生まれたのでしょうか。今回は日本でも人気が高いこの作品の鑑賞のポイントを解説していきます。

 

「ピアノを弾く少女たち」を理解するポイント

・温かみのあるタッチはいかにして生まれたか

 

ルノワール「ピアノを弾く少女たち」の解説

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「ピアノを弾く少女たち」 1892年 オルセー美術館

ピアノの前で二人の少女が一緒に楽譜を眺めています。何気ない穏やかな日常を切り取ったようなこの絵には、見ていてほっとするような温かみを感じます。

 

この温かみのある独特な画風はルノワールの晩年の絵画の特徴でもあります。彼はどのようにしてぬくもりの感じられる画風を手に入れたのでしょうか。

 

印象派と古典への傾倒

ルノワールの画風は時代によって大きく3つに分けることが出来ます。

最初は最もよく知られている印象派としての時代です。この時代には鮮やかな色彩表現を身に付けました。

 

次が古典に影響を受けた時代です。ローマへ旅行したルノワールはラファエロや新古典主義のアングルに影響多大な影響を受けました。こうしてルノワールは印象派とはうって変わってハッキリとした輪郭を手に入れましたが、一方で画面にはどこか冷たさが表れるようになりました。

 

晩年の作風

これらの二つの時代を経て、ルノワールはこの「ピアノを弾く少女たち」を描いた晩年の作風を完成させました。この時代の作品は印象派の鮮やかさや温かさと、印象派には無かった質感を持った輪郭の筆遣いが見られます。

 

ルノワールは見る人が楽しく、喜ぶような作品を描きたいと考えていました。「ピアノを弾く少女たち」を見ていると純心な少女がピアノの練習をしている姿にほっこりしてきます。

印象派と古典、二つの時代を経てルノワールは温かみのある優しいタッチを完成させたのです。

 

ぜひ美術館でこの作品やルノワール晩年の作品を見るときには、印象派時代や古典傾倒時代の作品とタッチを比べてみてください。

 


ルノワールの画風についてはこちらでも詳しく解説しています。

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