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【本の紹介】小暮太一『すごい言語化』

オススメ度:★★★☆☆

言語化とは、「自分の頭の中にあるものを、言葉に置き換えて、『誰か』に理解してもらうこと」(p.31)

 

小暮太一『すごい言語化』

 

ビジネスのコミニュケーションは「言葉」を介して行われる。しかし、この「言葉」の使い方を学ぶ機会はなかなか無い。

この本では「言語化」とはどのような状態かを明確に定義するとともに、言葉にしているのになぜ伝わらないかのメカニズムを明らかにしている。

 

 本書のエッセンス
・あいまいな表現に逃げない
・感想は「何を教えたいか」を問えばいい
・目的思考・相手の立場に立つ

 

本質

最初にこの本の本質が何かについて記載しておく。筆者がこの本を書くにあたって主張したいことは、以下の2つだけである。

① 目的思考

② 相手の立場に立つ

 

ビジネスで重要な要素として、私はこれらに自責思考を加えた3つを考えている。この本ではそのうちの2つに対してスポットライトが当たっている。

 

言語化とは、「自分の頭の中にあるものを、言葉に置き換えて、『誰か』に理解してもらうこと」(p.31)

仕事をするときに大事なのは、まず「相手が望んでいることをすること」です。要は、自分がオンリーワンかどうかの前に、それを相手が望んでいるかをかんがえなければいけないわけですね。(p.144)

多少のテクニックはあれど、最終的にはここに帰着する。

 

なぜ言葉にしても理解してもらえないのか

この本の中でもっとも役立つ部分が、言葉にしても伝わらない原因を言語化している点である。

筆者によれば、言葉にしても言語化できていない要因は以下の三つである。

① 言葉を定義していない
② 示す範囲が広すぎる
③ 比喩を用いている

 

もう一段おりて、なぜ上記のようなことがコミュニケーションが生じてしまうか考えてみる。

それは自分自身も事象を正確に把握できておらず、無意識にのまま曖昧にしてごまかしてしまうからではないだろうか。

わかっていないから自分の中に定義がない、わかっていないから広い言葉を使ってしまう、わかっていないから比喩に逃げるのだ。

 

ビジネスにおいて、言語化から逃げてはいけない。

徹底的に目的を意識し、どうすれば相手に伝わるかを考えれば、おのずと上記のような事態には陥らなくなる。

 

良い感想のテクニック

ビジネスでの言語化は目的志向・相手の立場に立つの2点で解消されるが、意外に難しいのが「感想」をとっさに伝える場面である。

友人と映画を見に行った時、手料理の感想を求められたとき、服を試着した時など、日常生活には感想を求められる場面が多々あるが、これが悩みの種になることがしばしばある。

 

この悩みに対して、筆者はとても有用なチップを与えてくれる。

教えたいことは?と自問すれば、自分の気持ちが揺れた部分を思い出せます。(p.242)

自分の中から感想を無理に引っ張り出そうとするのではなく、問いの置き方を変えることで感想を出しやすくするのだ。

また切り口を変えたいときには、教えたい想定相手を変化させればよい。例えば教授相手に教えたい内容と近所の小学生に教えたい内容は異なる。

また相手を想定することで伝え方もよりわかりやすく工夫でき一石二鳥である。