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全員が佐藤さんになる日【名字の種類の減少シミュレーション】

日本の人口減少のニュースを眺めていた時、ふと名字の数も減少するよなと思いまして、シミュレーションしてみることにしました。

 

 

今の日本の場合

現在の日本の夫婦の完結出生児数:1.94(2015年)*1と男性の生涯未婚率:25.7%、女性の生涯未婚率:16.4%(ともに2020年)*2となっている。簡単のため男女の生涯未婚率を20%としたとき、シミュレーションの結果は以下のようになりました。
 

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世代の人数の減少ほど急激ではありませんが、名字の数も着実に減っていることがわかります。このシミュレーションでは20世代で名字の種類が1種類になってしまいました
 

他のパラメータでも実験してみた

完結出生児数を1.99人、生涯未婚率を1%と常に人口が微減するようなパラメータでシミュレーションを行いました。このモデルでは先ほどの実際の日本の状況と比べて長い期間をかけて名字・人口が減少していることがわかります。

名字数が安定していた世代もありましたが、結局このモデルでも最終的には名字が数個に減少してしまいました。

 

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次に試したのは完結出生児数:2人、生涯未婚率0%という理論上は人口が減少しないモデル。子供の人数は確率分布に従うようにデザインしたために、人口も揺れ幅がありますが、長い目で見ると平均の周りをうろちょろしているように見えます。このように揺れが大きくなってしまったのは今回のシミュレーションで仮定した総人数が少ないためでしょう。

人口は理論通り0や無限には収束しませんでしたが、名字は少しずつ減っていってしまいました。一度消滅したら復活しない名字は、人口が一定であるだけでは確実に減っていってしまうことがわかります。

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最後に人口が常に微増し続けるモデルを考えます。このモデルでは常に世代の人数が前の世代の人数より大きくなるようになっています。ところどころ消えてしまう名字はありましたが、100世代を経てもおよそ80%の名字が残ることができました。

もし今の日本の名字の大半を残すには、人口増加は必須であることがわかりました。

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前提と補足

今回のシミュレーションでは「夫婦の完結出生児数」と「生涯未婚率」の2つをパラメータとしました。「夫婦の完結出生児数」とは夫婦間の最終的な子供の人数のことを指します。

前提

①各人が結婚するかどうかはp=生涯未婚率のベルヌーイ分布に従う
②結婚は一度しかせず、離婚や再婚は行わない。
③夫婦間の子供の人数はλ=夫婦の完結出生児数のポアソン分布に従う
④男女が生まれる確率は同様に確からしい
⑤各人はある世代に属し、同じ世代の人としか結婚しない
⑥子の名字は、子が複数人いても、どちらかの親の名字に統一される
⑦夫婦のマッチングはランダムに行われ、場合によっては兄弟同士でマッチングされることもある
⑧第一世代では名字の数を50種類とし、それぞれの人数は重複なく1~50人とする
 
 

日本で平民に名字が与えられたのは明治時代になってからと、その歴史は意外にも浅く世代でいえば7世代ほどしかありません。

人口減少や未婚率の増加が著しい現在の日本では、圧倒いう間に名字の数も減少してしまうのではないでしょうか。

 

豆知識になる記事はこちら

www.artbook2020.com

 

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