6月のとある月曜日、国立新美術館で開催中(2019.4.24~8.5)の「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への旅」に行ってきました。当初はクリムト展の方に行く予定でしたが、当日出発前に確認するとなんと休館日...!!
急遽ウィーン・モダン展に切り替えて行ってきました。
事前にチケットは購入していなかったので、ウィーン・モダン展のチケットは国立新美術館で買いました。チケットを販売している箇所は乃木坂駅直通のところと、反対の六本木駅側の二か所あります。
私は13時前後に行きましたが、そのときはどちらのブースも空いていました。何回か国立新美術館でチケットを買いましたが、平日で混んでいることは今までなかったので、前売りチケットを買っていなくても心配しなくて大丈夫だと思います。
会場に入ったらぜひとも会場リストと鉛筆をもらいましょう。(鉛筆は貸し出し用のもの以外は使用できないことが多いので注意!)最初は元気で好奇心がマックスなので説明をじっくり読んで早く鑑賞に入りたいところですが、まずは会場リストを眺めて展覧会全体の雰囲気をつかんでいきましょう。この時自分の好きな画家や作品がある場合はチェックをつけておきましょう。見逃すのを防げます。
美術館のオススメのまわり方については以下の記事にまとめてあります。是非参考にしてみてください。
ウィーン・モダン展で驚いたことは展示されている作品の数が多いということです。通常の特別展ですと100点前後の作品が展示されていることが多いのですが、今回のこのウィーン・モダン展ではなんと約400点が展示されています!食器など小物の数が多いことをありますが、それを差し引いてもかなりの数です。
あまり下調べをせずに行ったので、当日会場リストを確認してあまりの作品の多さにびっくりしました。それと同時に集中して全部は見きれないことを悟ったので、自分の関心のあるところに絞って鑑賞しました。
まず入って目を引いたのがマリアテレジアの肖像画です。豪華なだけではなく、気品と力強さがあふれています。構図としてはやや頭から下半身にかけて膨らんだ形をしていて、どこから見てもやや見下ろされているように感じます。
見つけてびっくりしたのが作曲家・シューベルトの肖像画です。
見た瞬間、「音楽室で見たのと一緒だ!」と思わず笑ってしまいました。
さらに面白いのが横に展示してあるシューベルトのメガネです。本人は自分のメガネを大勢の人が見物するようになるなんて夢にも思っていなかったでしょうね。
たくさんの作品が並んでいますが、目玉はなんといっても分離派のクリムトやシーレです。また分離派のポスターもそれまでの西洋とは大きく違った路線になっていて見ていてとても面白いです。中には1920年代のアメリカを彷彿とさせる作品も数多くありました。分離派が当時時代の先端をいっていたことがよく分かります。
私がこの展覧会で一番目を引かれたのもやはりクリムトの作品でした。その中でも特に気に入ったのが「パラス・アテナ」と「旧ブルク劇場の観客席」です。
「旧ブルク劇場の観客席」はクリムトの有名な作品らとは異なり、とにかく上手いという印象の画です。緻密な描写はブリューゲルの「バベルの塔」を彷彿とさせます。全体的に静かな色使いでありながら全体としては暗くなりすぎず、当時のブルク劇場の重厚感をそのまま伝えてくれます。
「パラス・アテナ」のすごいところは一つの画でありながら画面が3つあるというところです。写真やポスターでは分かりにくいですが、実際に本物を前にしてみると画面が3つに分かれているということが分かります。すなわち、一つの視点でそのすべてをとらえることが出来ないのです。
一つ目の画面が首から上の顔と背景にあたる部分です。二つ目は首から下、メデューサの顔と金の衣装の部分です。この金の素晴らしいところは、金色で金を表現するのではなく、その反対にある黒で金を表現しているというところです。そして、三つ目が右手(とその上)です。これらはぼかしによって遠近感を持たせたりすることで3つを同時に見ることが出来なくなっています。見ようとしても見えない、不思議な感覚に陥ります。そしてその不思議な感覚がまたこの絵に魅力を感じさせる一因となっているのです。
今回は作品が多かったことで少し疲れてしまいましたが、平日に行ったことで館内も空いていて余計なストレスを感じずに回ることができました。ところどころの休憩スペースが大変ありがたかったです。
クリムトの「エミーリエ・フレーゲの肖像」は今展覧会の中で唯一写真撮影が許されています。みなさんこの絵の前で立ち止まって写真を撮っていました。その近くのスペースではこの絵の衣装を実際に再現したブースもあり、こちらも再現度が高く面白かったです。
https://artexhibition.jp/wienmodern2019/