オススメ度:★★★☆☆
ミレニアム問題であるポアンカレ予想を解いたロシア人の天才数学者ペレルマンにスポットライトをあてたフィクション作品。訳は『フェルマーの最終定理』で有名な青木薫氏。
ソ連の数学(教育)事情なども描かれていて、共産圏の雰囲気の一端も知れたのが興味深かったです。
この本をオススメしたい人
・数学や科学が好きな人
・ソ連における優秀な児童の教育が知りたい人
感想
数学者で天才というと、集団行動の苦手な変わったタイプの人を思い浮かべますが、ペレルマンはまさにこのタイプです。
社会主義であったソ連は教育に対しても平等を重んじていました。
そうした反個性的な環境の中で"特別"であったペレルマンは恩師たちに守られながら才能を開花させていきます。
「人生は自分で切り開いていくものだ」としばしば言われますが、天才の道はその才能に惚れ込んだ人々によって整備され、ペレルマンは数学だけに関心をもったまま、ひらかれた道を歩み続けます。
さすがにこのレベルの天才を見ると、人間が生まれながらにして平等というのはあまりに無理がある気がしてくるのです。
リンク