本と絵画とリベラルアーツ

※弊サイト上の商品紹介にはプロモーションが使用されています

「竹久夢二伊香保記念館」は竹久夢二を知らなくても楽しめる【口コミ】

先日、伊香保まで旅行へ行った。

宿以外は特にノープランの旅だったので、現地でガイドマップを見ながら行き先を決めていく形になった。地図を見ていると「竹久夢二伊香保記念館」というものが目に入り、行ってみることにした。

正直なところあまり竹久夢二には詳しくなく、行って楽しめるか不安が少しあった。しかし実際に行ってみると、数々の仕掛けと展示によって、竹久夢二を知らなくても十分に楽しめることがわかった。

 

この記事は竹久夢二に詳しくない人から見た「竹久夢二伊香保記念館」を楽しむススメとなっている。

竹久夢二伊香保記念館

f:id:K_ArtforB:20220814101421j:image

100年前の音色

竹久夢二の代表作「黒船屋」の名前を冠した館、本館 夢二黒船館長で受付を済ませると、広いロビーでアンティーク調の古時計が出迎えてくれる。古時計は今も動いているそうで、30分に一度音が鳴る。

 

そのまま奥に進むと、横長の椅子が並んだ小さな音楽堂のような部屋がある。部屋には100年以上前の大きなオルゴールやピアノが展示されている。これらのアンティークは今でも実際に動かすことができ、かつての音色を聞くことができる。

オルゴールと聞くと、綺麗だが少し甲高い音をイメージする。しかしこの大きなオルゴールは高いながらも重厚感のある、アルトのような素敵な音色を奏でていた。

またピアノ奏者がいる時にはピアノの方の試演が楽しめる。私も幸運なことにその演奏を聞くことができた。

 

ピアノ奏者の後ろには洋館らしい大きな窓があり、その奥の森では蝉が鳴いている。仄暗い部屋に窓から内に光が射し、ベーゼンドルファーと奏者にあたっている。空間は奏者の服装以外一世紀前の変わらない。まるで聴いている私も一世紀前に連れ出されたような気持ちになった。

140年以上前につくられたベーゼンドルファーは、ピアノが弦楽器であったことを思い出させるような音色だった。

 

この演奏が聞けただけでも、この記念館にきた価値があったと感じるほど素晴らしかった

 

和洋融合した空間

通常の入場料に+α支払うと、新館に案内してもらうことができる。せっかくここまできたので、私もその新館に案内してもらうことにした。

 

新館は同じ敷地内にあり、本館からは徒歩3分くらいのところにある。向かう道の途中ではコロナ禍の前まで実際に使われていた喫茶室や、綺麗に手入れされた日本庭園を見ることができる。

 

西洋風であった本館とは変わって、新館は日本建築となっている。

新館では歴史的な日本のガラス作品を見ることができる。そのバリエーションは多岐に渡り、食器、文房具からランプシェード、ステンドグラス、ドアノブまであった。

特に珍しいと感じたものとしては、ウランのグラスがある。これはガラスにウランを混ぜることで黄色がかった色味が出るらしい。グラスそのものには危険性はないが、作る過程で職人が被曝することはあったらしい。今では作成が禁止された大変珍しい作品であった。

f:id:K_ArtforB:20220814103954j:image

f:id:K_ArtforB:20220814104103j:image

イラストレーターとしての夢二

さて本記念館のメインである竹久夢二の素晴らしい作品ももちろん見ることができる。

竹久夢二と言えば代表作「黒船屋」のような画風のイメージが強い。実際私も夢二についてはあまり詳しくなく、教科書で見た「黒船屋」のイメージしかなかった。

そのため夢二と言えばゴリゴリの日本画家だと思っていたが、そうではなく、多岐に才能を発揮した人物だということが展示を見て理解した。

 

その中でも印象的だったのが、当時の楽譜や商品の表紙を描いたものである。これらの作品は色が鮮やかで、見ていてとても分かりやすい。現代で言えば、イラストレーターと呼べるのではないだろうか。またその画風は漫画に通ずるものがあるとも感じた。