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【感想】ディズニー長編アニメ全作品見てみる(55/61本)

2023年創立100周年を迎えるディズニー。そんなディズニーでは1937年公開の白雪姫以来およそ60本ものアニメーション映画を世に送り出してきた(実写やピクサーなどの子会社作品を除く)。この記事ではディズニーのアニメーション映画について個人的な評価をダイジェスト形式でまとめながら、全作品制覇を目指している。

 

 

ディズニー長編アニメ全作品見てみた



1930s - 1950s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
白雪姫 1937/12/21 ★★★★★ 美に執着した女王が醜い老婆へと変わることで人間の執着を見事に表現されている
ピノキオ 1940/02/07 ★★★★☆ いい子と悪い子のはざまにいるピノキオの心情が迫力をもって描かれている名作
ファンタジア 1940/11/13 ★★☆☆☆ 正直キャラクターの出ないパートは眠くなる、、、
ダンボ 1941/10/23 ★★★★☆ サーカスのテントを立てるシーンが個人的にお気に入り
バンビ 1942/08/13 ★★★☆☆ バンビがかわいい
ラテン・アメリカの旅 1942/08/24 ★★★☆☆ どこか懐かしいナレーションがとてもよかった。ホセが出る。
三人の騎士 1944/12/21 ★☆☆☆☆ 何を見せられているのかという気持ちになる。キャラはかわいい。
メイク・マイン・ミュージック 1946/04/20    
ファン・アンド・ファンシー・フリー 1947/09/27 ★★☆☆☆ 前半は知名度が恐ろしく低いクマのボンゴ。後半はミッキーたち
メロディ・タイム 1948/05/27   ファンタジアの実験台。退屈。ペコス・ビルが出る
イカボードとトード氏 1949/10/05 ★★★★☆ 魅力的なキャラクターと愉快な音楽、そしてホラー...
シンデレラ 1950/02/15 ★★★★☆ 曲、キャラクター、ストーリー構成すべてがお手本の様にすばらしい
ふしぎの国のアリス 1951/07/16 ★★★★☆ 渋谷にある水曜日のアリスにたまに行きます
ピーター・パン 1953/02/05 ★★★★☆ 魔法の粉で空を飛んで、ビックベンの時計の針に乗るという発想が天才
わんわん物語 1955/06/16 ★★★★★ 日常の中にファンタジーを作り出すのがうまい。奇抜さや流行り抜きでも、らしい生き方を提示することができる。曲が素敵
眠れる森の美女 1959/01/29 ★★★☆☆ 終わっちゃったけどワンマンに眠れる森の美女を入れたの天才だと思った

 

1960s - 1970s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
101匹わんちゃん 1961/01/25 ★★★★☆ クルエラがヴィランとしてとても魅力的
王様の剣 1963/12/25 ★★★☆☆ 絵柄は好き
ジャングル・ブック 1967/10/18 ★★★☆☆ 曲も絵柄もいい。
おしゃれキャット 1970/12/11 ★★★★☆ ディズニー×ジャズは最高
ロビン・フッド 1973/11/08 ★★★☆☆ わかりやすくテンポもいい
くまのプーさん 完全保存版 1977/03/11    
ビアンカの大冒険 1977/06/22 ★★☆☆☆ ヴィランがクルエラに似てる

 

1980s - 1990s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
きつねと猟犬 1981/07/10 ★★★☆☆ 王道の友情物語
コルドロン 1985/07/24 ★★☆☆☆ キャラ設定が生かされていない
オリビアちゃんの大冒険 1986/07/02 ★★★☆☆

ロンドンを舞台にした愉快な探偵もの

オリバー ニューヨーク子猫ものがたり 1988/11/18 ★★★☆☆ ビリー・ジョエル×ハワード・アッシュマン
リトル・マーメイド 1989/11/17 ★★★★★ 声に恋したエリックに会うため声を捨てるストーリーが秀逸
ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え! 1990/11/16 ★★☆☆☆ CG練習中。ヴィランは前作のメデューサの方が良かった
美女と野獣 1991/11/22 ★★★★★ 一番好きなディズニー作品
アラジン 1992/11/25 ★★★★★ 劇団四季の『アラジン』が今まで見たミュージカルの中で一番良かった
ライオン・キング 1994/06/24 ★★★☆☆ 囮になって逃げるシーンはいつ見ても笑える
ポカホンタス 1995/06/23 ★★★☆☆ 留学して海外かぶれした女子をポカホンタス女子と呼ぶらしい
ノートルダムの鐘 1996/06/21 ★★★★☆ ブロードウェイ版の『ノートルダムの鐘』の音源が国宝級によい
ヘラクレス 1997/06/27 ★★★★☆ 藤井フミヤの『Go the Distance』が名曲
ムーラン 1998/06/19 ★★★☆☆ 実写版では名曲がBGM化しててショック!
ターザン 1999/06/18 ★★★☆☆ 作画が素晴らしい。小さいころ無限ループしていた

2000s - 2010s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
ファンタジア2000 2000/01/01 ★★☆☆☆ ノアの箱舟のシーンしか覚えていない
ダイナソー 2000/05/19 ★★☆☆☆ 猿に育てられた恐竜が群れのリーダーになる
ラマになった王様 2000/12/15 ★★★☆☆ ギャグ全振りの作品だった
アトランティス 失われた帝国 2001/06/08 ★★★☆☆ ヒョロガリが古代文明を見つけ勇敢に活躍する
リロ・アンド・スティッチ 2002/06/21 ★★☆☆☆ 「オハナ」だけで丸く収めるのは無理がある
トレジャー・プラネット 2002/11/27 ★★★☆☆ 親子愛ストーリー。テーマはよかった
ブラザー・ベア 2003/11/07 ★★☆☆☆ クマを殺しクマになる。全く共感できない。曲はターザンライク
ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え! 2004/04/02 ★★★★★ 牛版の『天使にラブソングを』。曲も良い。ポスターで損しすぎている
チキン・リトル 2005/11/04 ★★★☆☆ キャラが個性的で楽しい
ルイスと未来泥棒 2007/03/30 ★★★★☆ よくできたタイムトラベル物
ボルト 2008/11/21 ★★★★☆ ジョン・ラセターかと思ったらジョン・ラセターだった
プリンセスと魔法のキス 2009/12/11 ★★★★★ 愉快なジャズが好きなあなたに
塔の上のラプンツェル 2010/11/24 ★★★★☆ 圧倒的作画と音楽
くまのプーさん 2011/07/15 ★★★★☆ プーさんがなかなかの畜生
シュガー・ラッシュ 2012/11/02 ★★★☆☆ クッパいたなあ
アナと雪の女王 2013/11/27 ★★★★★ 日本語版でも曲がいい。神田沙也加さんがいなくなって本当に残念
ベイマックス 2014/11/07 ★★★★☆ 泣ける
ズートピア 2016/03/04 ★★★☆☆ キャラが作り込まれている
モアナと伝説の海 2016/11/23 ★★★★☆ ビリーブでの使われ方に感動した
シュガー・ラッシュ:オンライン 2018/11/21 ★★★★☆ キャラ・背景のデザインが素晴らしい
アナと雪の女王2 2019/11/22 ★★★★☆  

 

2020s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
ラーヤと龍の王国 2021/03/05 ★★★★☆ ストーリーもキャラもよかった
ミラベルと魔法だらけの家 2021/11/24 ★★★☆☆ 曲はよかった
ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界 2022/11/23 ★★★☆☆ 現代社会詰め込み過ぎ

【勉強法】文系が統計検定データサイエンス基礎に合格した話

2022年12月に統計検定 データサイエンス基礎を受験し無事合格した。本記事では難易度や具体的にどのように勉強していったかについてまとめてある。

 

文系が統計検定データサイエンス基礎に合格した話

 

勉強法

統計検定 データサイエンス基礎を勉強するにあたり、ポイントが大きく2つある。それは①統計の知識と②Excelでのデータハンドリングである。

 

①統計の知識に関しては、統計検定2級程度の知識があれば十分だと言える。事前に統計検定2級を取得できていれば申し分ないが、もしなくても3級レベル(高校レベル)の確率の知識があれば簡単に補うことができる。

オススメは以下の本である。一般向けに書かれた本であるため表現は平易でありながら、重要なポイントをしっかりと抑えてある。この本の内容を一通り理解しておけば、データサイエンス基礎に合格できるだけのレベルに達することができる。

予想学習時間:20時間

 

②Excelでのデータハンドリング

目安としては、ピポットテーブルを難なく作成できるスキル。ピポットテーブルが使えなくとも答えにたどり着くことができるが、問題数に対する時間を考えるとやはりピポットテーブルが使えた方が望ましい。

ピポットテーブルが意外に必要な関数や小技は以下の記事がとても参考になる。

qiita.com

 

出題メモ

当日出題された内容のメモを簡単に残しておく。

出題テーマと内容

[1]店舗売上→ソート、累積度数、パレード図

[2]人口→1万人あたり、相関係数、単回帰

[3]医療→69歳以下、既往化、重症化、相関係数、条件付き確率、and、クラーメルの連相関係数

[4]不良品→期待値、二項分布の分散、ベイズの定理

[5]歩数→ピボット、母分散、平均、欠損値

[6]解かなかったやつ→信頼区間

[7]企業利益→従業員一人あたりの利益、割合、四分位数

[8]テキスト→ピボット、絶対度数

 

 

・大問8つ(4〜5問/大問)で90分と時間が厳しい

・ピボットテーブルの活用が重要

・クラーメルの連相関係数の定義や、四分位数のExcel関数(四分位数)は問題に記載されていた

【感想】渋谷のSTUDY LOUNGEにビジターとして行ってみた【混雑】

自己学習が求められるようになる中、有料の自習室やコワーキングスペース流行りつつある。コロナ禍によるテレワークの増加や、空きテナントの増加もこのトレンドに拍車をかけている。

私も受験生の頃雑居ビルの一角に入っている自習スペースを借りて学習していましたが、その頃の自習スペースはただ勉強机がいくつか並んでいるというお粗末なものだった。

しかし時は流れ、現代の自習スペース・コワーキングスペースはどんどんオシャレに、そして快適に進化している。

 

今回は渋谷にあるSTUDY LOUNGEをビジターとして利用してきたので、その特徴や雰囲気を記事にした。

studylounge.jp

渋谷のSTUDY LOUNGEにビジターとして行ってみた

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雰囲気

STUDY LOUNGEは、渋谷駅から徒歩10ほどのところにある雑居ビルの中にあった。はじめ入り口が少しわかりにくいが、塾の看板が目印になる。

小さなエレベーターに乗り込み、8階で降りるとすぐ目の前が入り口になっていた。入ってすぐ左に受付があるので、声をかけ説明を受ける。支払いは後払い。

 

空間は4つに分かれており、それぞれフレキシブルスペース、ミーティングスペース、集中スペース、ラウンジスペースとなっている。集中スペースではパソコン作業をすることはできない。

中でも人気なのは個別の机が設置されているフレキシブルスペースで、私が訪問したときにはミーティングスペースが誰もいなかったのに対し、フレキシブルスペースは9割方埋まっていた。

どこに座ろうか迷ったが、空いているフレキシブルスペースの席を見つけたのでそこに落ち着くことにした。

 

利用者は半分社会人、半分学生といった感じでとても静かで落ち着いていた。案外パソコン作業をしている人は少なく、紙ベースでの学習が多く見られた。

たまに通る電車の音がとても心地よかった。

 

設備

設備は机の他、コーヒーマシンとウォーターサーバーが設置されていて飲むことができる。コーヒーマシンを使いたい場合は受付で頼みコインをもらい、それを使ってマシンを動かす。コーヒーは集中できるようこだわられたブレンドのようで、ホットとアイスでそれぞれ2種類ずつ用意されていた。

受付で頼めば紅茶も飲むことができる。

 

フレキシブルスペースの机に配置されたコンセントは1つだけだったので、複数コンセントを使いたい場合にはたこ足を持って行った方がいいかもしれない。

モニターもない。パソコンはネットサーフィン用であれば借りられるとのことだった。専用のWi-Fiもあり。

 

 

基本的にはきれいなスペースだったが、椅子がだいぶ使い込まれているのかシートが剥げているものが多かった。

 

注意点・感想

飲み物は持ち込み可能だが、ビジターの場合には一時退室ができないので先に買っておく必要がある。

 

3時間利用して1,600円ほどと手ごろで、渋谷の近くに用があるときにはまた利用したいと思った。ただ前述のとおりパソコン作業のするという雰囲気ではないので、キーボードをガシガシ叩きたい場合には他のカフェなどを利用した方がいいかもしれない。

 

孤独はなぜ精神を蝕むのか?『ハンナ・アレント』【講談社現代新書100】

オススメ度:★★★☆☆

存在も見方も多様でありながら、誰もが常に同一の対象に関わっているという事実こそがリアリティを保証するのである。(p.76)

牧野雅彦『ハンナ・アレント 全体主義という悪夢』

著者:牧野雅彦(1955~)

神奈川県生れ。広島大学大学院社会科学研究科教授。京都大学法学部卒業後、名古屋大学大学院法学研究科修士課程修了。

 

感想

「現代新書100」というレーベルが、講談社より創刊された。通常の新書が200ページ強であるのに対し、「現代新書100」は100ページを基本とし、より手軽に楽しめるようになっている。

「新書の権威が落ちた」という意見も見られたが、本が売れない時代に門戸を広く開けておくことは良いことだと思った。

 

共通世界

人間の活動は、「労働」「仕事」「行為」に分けられる。生産と消費を行う「労働」、自然の素材に手を加えて具体的なものを製作する「仕事」、そして人間同士で行われるのが「行為」である。「行為」によって人は他者との間に網の目のような関係=共通世界を作り出す。その「共通世界」のなかで「行為」は行われ、また「共通世界」は存続していく。

人は共通世界のなかで統合された他者の目線を理解し、「共通感覚」を獲得する。共通感覚はそのままその人の倫理となる。

全体主義はその共通世界を破壊し、人々の判断力を奪う。共通世界を破壊された後、人々が拠り所にするのは論理である。ヒトラーは「人種の優劣」を、スターリンは「階級闘争」の論理を持ち出し利用した。

 

リアリティ

面白いと感じたのが、リアリティとは何かについてかかれた部分である。

リアリティを保証するものは、世界の構成員が対象を同一的な見方をすることではない。存在も見方も多様でありながら、誰もが常に同一の対象に関わっているという事実こそがリアリティを保証するのである。(p.76)

どれだけ自分が本物だと感じていても、他の人からの評価がなければリアリティを保ち続けることはできない。例えば、自分だけに見えていて他の人に見えないものがあるならば、いずれそのものが実在することに対する自信を失っていってしまうだろう。

自分の生きている世界にリアリティを感じるためには他者の評価が必要不可欠であり、これがなければ自分の世界だけでなく、自分自身の存在そのものに対してもリアリティを失っていってしまう。そういう意味でやはり人間は社会的な動物なのだろう。

孤独が精神を蝕んでいくのも、このあたりに答えがあるのではないかと感じた。

 

【感想】劇団四季『美女と野獣』を見てきた【ネタバレ無し】

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劇団四季で演じられているディズニー作品と聞いて、みなさんは何を思い浮かべられるだろうか。

超ロングラン上演でCMもよく流れている『ライオン・キング』や、上演が決まってからたびたび話題に上がっている『アナと雪の女王』を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。

 

数多くのディズニー作品が演じられてきた劇団四季だが、最初に持ち込まれたディズニー作品は実は『美女と野獣』である。1995年に初めて上演されて以降、しばしば間を挟みながらこれまで演じられてきた。

そして2017年の京都公演で千秋楽を迎えて以降、5年ぶりに舞浜公演として再スタートした。

 

私は『美女と野獣』がディズニー映画の中で最も好きな作品で、今回の公演も心より楽しみにしてきた。『美女と野獣』を観るために四季の会(劇団四季の有料会員)に入ったと聞けばその熱量が伝わるだろう。

私が観に行ったのは舞浜公演が始まって初めての土曜日ということもあり、大変賑わっていた。グッズショップもはじめ空いていたが、私が退店するころには外まで列ができていた。

 

率直に感想を言えば「トータルでは良かった」というのが正直な感想である。期待を大きく上回った部分もあれば、個人的に少し気になったところもあった。

 

期待値を大きく上回り印象に残ったのは、出演者の圧倒的な歌唱力である。特に主演のベルとポット夫人の声は素晴らしく、話し声でさえ感動させられた。

兎にも角にも声が美しい。この二人が声を出そうとするだけでワクワクさせられ、それだけでも観にきた甲斐があったと感じた。

ポット夫人による主題歌は圧巻で、「口から音源」という言葉がぴったりであった。本当に映画の中にいるような気分だった。

 

一方で少し気になった点は、一部の背景と舞台装置である。前からの公園のものを継続して使っているのかもしれないが、演者たちの歌唱力に対し迫力がやや物足りないなと感じた。

とりわけ背景の方はハリボテ感が否めない箇所があったので、どこかでグレードアップするタイミングがあればいいなと思った。

 

結局良いのか悪いのか分からない感想になってしまったが、控えめに言って良かったことは間違いない。

まだ2回は観に行く予定があるので、アドリブ部分や他の演者との違いが楽しみだ。

 

 

『生きがいについて』

人生を豊かにし、ハリを与えるものの正体は何なのであろうか。経済的・物質的な豊かさは幸福に直結するのであろうか。

人類に共通するこの問題のヒントとして、この本では「生きがい」を挙げている。

 

p.9 同じ条件のなかにいてもあるひとは生きがいが感じられなくて悩み、あるひとは生きるよろこびにあふれている。

*『夜と霧』でも収容所で絶望するものと、英雄的なものがいた。

 

p.11 生きがいの重要性

わざわざ研究などしなくても、はじめからいえることは、人間がいきいきと生きて行くために、生きがいほど必要なものはない、という事実である。それゆえに人間から生きがいをうばうほど残酷なことはなく、人間に生きがいをあたえるほど大きな愛はない。

 

p.16 生きがいとは何か

なんといっても生きがいについていちばん正直なものは感情であろう。もし心のなかにすべてを圧倒するような、強い、いきいきとしたよろこびが「腹の底から」、すなわち存在の根底から湧きあがったとしたら、これこそ生きがい感の最もそぼくな形のものと考えてよかろう。

 

p.20 子供はみな「生きがい感」をもつ

しかし子供にとっては「あそび」こそ全人格的な活動であり、真の仕事、すなわち天職なのであるから、そこで味わうよろこびこそ子供の最大の生きがい感であろう。

 

p.24 充実した時間の感覚

あまりにもするすると過ぎてしまう時間は、意識にほとんど跡をのこさないからである。...したがって生きるのに努力を要する時間、生きるのが苦しい時間のほうがかえって生存充実感を強めることが少なくない。ただしその際、時間は未来にむかって開かれていなくてはならない。いいかえれば、ひとは自分が何かにむかって前進していると感じられるときにのみ、その努力や苦しみをも目標への道程として、生命の発展の感じとしてうけとめるのである。

 

p.25 どのような構造の中に生きるか

人間はべつに誰からたのまれなくても、いわば自分の好きで、いろいろな目標を立てるが、ほんとうをいうと、その目標が到達されるかどうかは真の問題ではないのではないか。ただそういう生の構造のなかで歩いていることそのことが必要なのではないだろうか。その証拠には一つの目標が到達されてしまうと、無目的の空虚さを恐れるかのように、大急ぎで次の目標を立てる。結局、ひとは無限のかなたにある目標を追っているのだともいえよう。

*自分が勉強の目標を立て続けてきたのはそういうことだったのか

 

p.40 ごまかし

自己に対するごまかしこそ生きがいに感を何よりも損なうものである。

*自助論でも、自分の心の目についての記述があった。

 

p.64 承認欲求

他人に存在をうけ入れてもらう性質のもので和なくては、生きがい感はうまれにくいであろう

*人生の目的論で社会性を重視していたことと同じ

 

p.65 リボー

ひとは自分が世話になったひとよりも世話してやったひとのほうをこころよく思う

*その通り

 

p.

たとえ宿命的と形容されるような苦境にあっても、いっさいを放り出してしまおうか。放り出そうと思えば放り出すこともできるのだ。放り出して自殺やその他の逃げ道をえらぶこともできるのだ。そういう可能性を真剣に考えた上でその「宿命的」な状況をうけ入れることに決めたのならば、それはすでに単なる宿命でもなく、あきらめでもない。一つの選択なのである。そこにはもうぐちの余地はない。そしてぐちこそ生きがい感の最大の敵である。

*夜と霧と本質的には同じこと。今の自分の環境はいかなる事情によるものであれ、究極的には自分で選択したものであり、そこに不平不満を垂れることは人生にいっさいの効用をもたらさない。

 

p.152 悲しみとの融和

悲しみを受け入れるためには、まず「あるがまま」を受け入れ悲しみを客観視し、その上で目標を設置し未来志向に生きる必要がある

*あるがままを受け入れる→実存的に生きるということ

 

 

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『白雪姫』

オススメ度:★★★★★

バラのように赤い唇、つややかな黒髪、その肌は雪の白さです

 

『白雪姫』

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あらすじ

ある国に自分が最も美しくなければ許せない女王がいた。女王は「魔法の鏡」に誰が一番美しいか問い、"それはあなたです"と言われることに満足していた。

しかしある日、「魔法の鏡」は"女王より美しい若い娘がいる"と言った。それは娘の白雪姫であった。激昂した女王は狩人に命じ白雪姫を殺そうとするが、狩人は白雪姫を殺すことができず、代わりに森の奥に逃がす。

白雪姫は森の動物たちに導かれ、小人の住む家を見つける。白雪姫はそこで幸せな時間を過ごすが、白雪姫がまだ生きていることを知った女王は醜い老婆の姿に化け、再び白雪姫を殺しにやってくる。

 

感想

子どもの頃、高い熱を出すと決まって見る怖い夢があった。真っ暗で狭いトンネルを抜けると、その先に怖い顔をした木のお化けが、道の脇に並んでこちらを睨んでいる。身体は台車のようなものに固定され、逃げることも出来ずひたすら怖い木の間を進み続ける。最後は恐怖に耐えきれなくなり気絶すると、汗をびっしょりとかいた現実で目を覚ます。

のちにこのシーンは映画『白雪姫』と、ディズニーのアトラクション『白雪姫と七人のこびと』の記憶が混ざってできていることが分かった。

 

白雪姫が狩人に追いまくられて森の中へ逃げるシーンは、今見てもかなり怖い。

白雪姫は恐怖から、暗い森の中で木々や動物が怪物に見えてしまいパニックに陥る。パニックになったことで更に更に空目する。最後は恐怖のあまり気を失ってしまう。

 

この森に対するイメージはドイツの森のイメージからきていると思われる。ドイツには「黒い森」を意味する、シュヴァルツヴァルトという大きな森がある。その名の通り密集する木々により森は黒く見え、中世のドイツ人たちはこの森に畏怖してきた。

こうした森のイメージはドイツ人の創作物にも影響を与えてきた。『赤ずきん』や『ヘンゼルとグレーテル』といったグリム童話でもそのイメージが確認できる。

『白雪姫』も原作はグリム童話であり、同様の森のイメージを継承していると考えられる。

ディズニーの森の描写がうますぎるので、小さい頃の自分がトラウマになったのも無理がないなと思う。

 

さて私がこの映画で最も衝撃を受けた点は、魔女の嫉妬の描き方である。

魔女は自分より娘の方が美しいと分かると、狩人に命じて娘を殺そうとする。それが失敗に終わると、今度は自らが醜い老婆の姿に変身し殺害を目論む。

自らが一番美しい存在になると言う目的のために白雪姫の殺害(手段)を企てたにも関わらず、手段を達成するために目的を見失ってしまっている。強い執着が人を盲目にする様がありありと描かれているところが最も印象的であった。