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【本の紹介】一條次郎『ざんねんなスパイ』

オススメ度:★★★★☆

 

一條次郎『ざんねんなスパイ』

 

 

 本書のエッセンス
・ドタバタ劇系
・73歳の実務未経験のスパイが市長暗殺を命じられる

 

感想

73歳でこれまで一度もミッションに呼ばれたことないスパイ・ルーキーが、二ホーン国のある市長の暗殺を命じられるが、親友になってしまう。

突拍子のない設定から始まるこの物語は、喋る巨大なリス、キリストの訪問、空き巣を働く隣人と、次々出てくるさらなる突拍子のない設定によりカオスに突入していく。

 

クライマックスに入ると、病気の時に見る夢を見ているような感覚に陥る。

 

読み始めて、正直言ってあまり好きなタイプな小説だなと思った。どちらかといえば心情の機微を感じられる小説が好きで、設定で読ませるタイプの小説は得意ではない。

読み始めて序盤は、ハズレだったかなあと思うこともあった。

 

しかし読み進めていくうちに、読む手が止まらなくなっていることに気がついた。

この小説は設定で読ませるタイプであるにもかかわらず、最後まで読ませるパワーがあったのだ

もう少し正確にいえば、カオスを読まされている時にもう少し読めばカオスを抜けてスッキリするのではないかという期待感を常に持たされていた。

 

好みの分かれる小説ではあるが、森見登美彦や万城目学のような小説が好きな人にはハマる気がした。