オススメ度:★★★★☆
フィードバックがないと人はバカになる(p.96)
竹内薫『自分はバカかもしれないと思ったときに読む本』
本書のエッセンス
・バカだと思われているとバカに育つ
・フィードバックを受けないとバカになっていく
感想
仕事量と責任の負荷に負け、初めて鬱っぽい気持ちを味わった。
寝ても寝ても疲れがとれず、常に頭が徹夜明けのようにぼーっとしている。簡単なことでも集中力が続かず、凡ミスが繰り返される。活字が頭に入らなくなり、説明を聞いていてもすぐに文脈を捉えられなくなる。
いつ治るかわからない不調に、身体の芯が冷えるような恐怖を感じた。
…という背景がありこの本を手に取った。
上記の理由から「バカ病」にかかったときの特効薬のようなものを期待して読み始めたが、趣旨としてはすこし期待したものからずれていた。
どちらかといえば慢性的なバカに向けた漢方のような本だった。
本書ではまず「バカ」が思い込みからつくられることを指摘し、勘違いを解きほぐしていく。
自分のことを「バカ」だと持っている人は生まれながらにしてバカだと勘違いしているが、実際にはそうではない。成長過程で親や教師など周囲から「バカな子」として扱われた結果バカだと思い込んだ人が出来上がるという、レッテル効果のような要因から生じる。
ではこの勘違いを看破したうえで、社会の中でバカどのように形成されてしまうか。
竹内氏はその要因を「フィードバックの有無」に見出す。
つきつめると、この社会のなかでバカかそうでないかを分けるのは、どれだけフィードバックを受けられるかってことなんですよね。フィードバックを受けることによって自己修正がどれだけできるか、行動をどれだけ変えられるかということで、たぶんバカかそうでないかが決まるんですよ。(p.98)
他人からフィードバックが得られるということは、PDCAサイクルでいえばCheckの精度が上がることである。このCheckがうまく機能しなくなっていけば、必然的にActionが頓珍漢な方向へ行き、成果のクオリティ低下につながる。
しかし他者からのフィードバックが入らない限り、クオリティの低下にさえ気が付けない。この状態は言うまでもなく愚かであり、バカだと言える。
新人のうちはフィードバックの機会に恵まれているが、年次や役職が上がれば指摘してもらえる機会が減る。
このような状況になったとき、積極的にフィードバックをもらいに行き、謙虚な姿勢で受け止められるかどうかがその人の伸びしろになるのだと理解した。