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【雑記】窓の外を眺める小さなお家たち

 

窓の外を眺める小さなお家たち

 

窓の外を眺める小さなお家たち

幼い頃からかかりつけにしている歯医者がある。家族で経営している小さな歯医者は、優しい先生の人柄によりいつも賑わっている。

待合室には子どもたちが退屈しないようにとたくさんのオモチャが置かれた遊び場も設けられ、その白い壁には子どもたちの笑顔の写真がびっしりと飾られている。院内はいつも明るく、清潔さで光っている。

部屋の飾りはマメにも季節ごとに取り替えられ、その季節のイベントによって秋はハロウィン風に、冬はクリスマスのサンタやトナカイなどが院内に色を添えている。

 

12月のある日、久々に訪問し待合室でじぶんの番を待ちながらふと窓の方を見やると、赤や黄色のカラフルな壁に森の緑の屋根を乗せた4、5個の手のひらに乗るほどの小さなお家たちが飾られていた。

そのオブジェの造形を見るに、どうやらお家たちは窓の外の方に向けて配置されているようである。

病院のお客さんに背を向けて窓の外を眺める小さなお家たち。これらのお家にふと、大きな愛のようなものを感じた。

 

院内のサンタやトナカイ、あるいはアンパンマンのオモチャや壁に飾られた子どもたちの写真は、明るい陽のなかで楽しそうに過ごす子どもたちやそれを見つめる家族を見ている。

先生や職員たちとともにこの素敵な空間をつくりあげる小さなオブジェたちもまた、優しい空気にあてられきっと同じ温かさを有しているに違いない。そう思うと心なしか、サンタの目にも温もりが宿っているように見える。

 

今年の秋は暖かい日が続いていたけれど、12月に入るとこれまでの暖かさがウソだったかのように気候を変わり、あっというまに耳の裏が痛み出すほどきちんと冬になってきた。

窓の外の通行人はすこしでも吹きつける冷たい風から身を守ろうと、身体を小さくかがめ、襟を高く立て、ポケットに手を突っ込んで歩いている。時折強く風が吹き痩せた木々がぶっきらぼうに音を立てて揺れると、通りすがりの皆が顔をしかめていく。

 

小さなお家たちは不憫である。

小さなお家たちは院内の様子を見ることができない。部屋の中でときどきワッと起こる笑い声の主を確認することも、治療を終え半泣きになりながらもどこか誇らしげに帰っていく子どもの顔を見ることもできない。

それでもそんなカラフルな小さなお家たちは院内の幸せをおすそ分けするかのように、寒空の下をコートを振るわせ歩く人々を静かに見つめている。

 

待合室には視線を戻すと、赤い服を着た4歳くらいの女の子が、大人の腰ほどの高さのクリスマスツリーの飾りに優しく触れていた。