オススメ度:★★★★★
『グッド・ウィル・ハンティング』
本書のエッセンス
・才能では人は幸せになれない
あらすじ
青年ウィルはMITの清掃員として働きながら、素行の悪い友人たちとつるみ、時に警察の世話になるような生活を送っていた。
ある日ウィルは廊下に張り出されていた数学の問題を見つけると、いとも簡単に解いてしまう。数学者ランボーはこのことに気が付き、ウィルの才能を埋没させないよう、鑑別所に入っていたウィルを毎週カウンセリング受けさせるという条件で引き取る。
しかしウィルはカウンセラーに対し心を開こうとせず、逆にバカにした態度で対峙してしまうためカウンセラーたちは次々に匙を投げていった。
困り果てたランボーはかつての友人で心理学者のショーンにウィルのカウンセリングを依頼する。
ウィルはまた他のカウンセラーにしたように、ショーンに対しても侮蔑した態度をとる。どのような言葉にも動じなかったショーンだが、亡き妻を侮辱されると激しく叱咤する。
幼少期に傷つき人間関係をうまく築けなくなっていたウィルと同じように、ショーンもまた最愛の妻に先立たれてから心に傷を抱えていた。
二人は衝突や紆余曲折を経ながら次第に互いを理解し、心を開いていく。
感想
精神科医アドラーによれば、人の悩みはすべて人間関係から生まれてくるものだという。
そうであるとすれば、幸福な人生を送る上でもっとも重要なのは、健全な人間関係を構築していくメンタリティなのではないだろうか。
この映画の主人公のウィルは数学の特別な才能を持っていながら、幼少期に養父から受けた悲痛な経験から他人と健全な人間関係を築けずにいた。
人に失望されることを恐れ、親しくなった相手には失望される前に自ら距離を取る。
ウィルはこうして20年間孤独の中にいた。
図抜けた頭脳やスポーツの才能、優れた容姿は他者に羨望を抱かせる。
しかしこれらは本当に人生において最も必要な要素なのだろうか。ウィルが数学の才能を持っていながら人生に難を抱えていたように、幸せな人生に送るためにはアドラーが主張するように人間関係を健全に築ける精神構造が必要なのだと感じた作品であった。