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「植物工場」をわかりやすく解説!【メリットから現状の課題まで】

この頃よく耳にすることの多くなった「植物工場」。

 

なんとなく工場で野菜を作っているというイメージはあっても、実際どんなものなのかはあまり知る機会がありませんよね。

 

今回はこれから普及が期待される「植物工場」について詳しく、わかりやすく解説していきます!

 

植物工場とは?

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「植物工場」とは植物の栽培を全て、もしくは一部を機械制御することで季節を問わずに計画的な植物・野菜の生産を可能にするシステムのことです。

通常は閉鎖的空間か半閉鎖的空間によって行われます。

 

なぜ今「植物工場」が注目されているのか

植物工場が注目される背景には異常気象による食料生産の不安定化、農業人口の減少、低い食料自給率が挙げられます。

 

特に昨今の異常気象は深刻で、2018年の農林水産被害は5600億円にも及びました。

政府はこの現状を受け一定の条件を満たした植物工場に対して補助金を出しています。

 

安全で安定した食料を供給する手段として、植物工場は注目されているのです。

 

植物工場の種類

植物工場には大きく分けて。

①完全閉鎖型
②太陽光併用型
の、2種類が存在します。
 
完全閉鎖型はみなさんがイメージする植物"工場"という感じで、大きな屋内で野菜がずらりと作られています。
完全に閉鎖した利点は光・気温・地温・液肥を完全にコントロールできることで、完全なる計画生産が可能になっています。
 
一方で太陽光併用型植物工場はビニール栽培の発展版のような形態で、一部天気の影響を受けます。
そのため生産の安定性に関しては完全閉鎖型におは及びません。

 

養液栽培

植物工場で欠かせないのがこの「養液栽培」という技術です。

 

養液栽培とは、作物に必要な栄養素を水に溶かし肥料として作物に与えて栽培していく方法です。

土を使わずに栽培を行うことで土壌病害*や連作障害*を回避できます。また土を耕す必要がなくなったり、大規模化しやすくなるなど多くのメリットがあります。

 

植物工場ではこの「養液栽培」が主に用いられており、買っても切れない技術といえます。

 

*土壌病害…土を介して伝染する病気

*連作障害…同じ土壌で同じ植物を育て続けることで生育不良を起こすこと。土壌のバランスが崩れたり、その植物を好む菌や虫が増えてしまうことによって起こります。

 

植物工場のメリット・デメリット

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これからの成長が期待される植物工場ですが、メリットとデメリットの両方を持ち合わせています。

 

植物工場のメリット

植物工場のメリットとしては

  • 農薬に頼ることなく安全な食料を生産できる
  • 労働のマニュアル化が可能であるため働き手に高度な教育を要求する必要がない
  • 天候に左右されることなく安定して植物を生産することができる
  • 1年間に10作することも可能になり効率的な生産が可能になる
  • 自然環境に左右されないため場所を選ばず再現性が高い 

といったことが挙げられます。

 

これらのメリットは現在日本が抱える社会問題・食料問題と合致しており、これから植物工場が増えていくのは確実でしょう。

 

植物工場のデメリット

植物工場は多くの面で発展が期待されていますが、一方でデメリットも存在します。

植物工場最大のデメリットは2つのコストの大きさにあります。

 

まず一つ目は初期投資にかかるコストです。

植物工場は設備投資の段階で初期投資が巨額であり、個人がお金を出して植物工場を始めるというのは難しくなっています。

これから植物工場が建設されていくケースとしては、巨大資本の投下を行いスケールメリットによる限界費用の低減を目指す。またはクラウドファンディングにより設備投資資金を集め、同時に買い手を獲得するというのが一般的になるのではないでしょうか。

 

もう一つが原価に対する電気代が高いことです。

植物工場は機械が多く導入され(特に完全閉鎖型では)年中電力を止めることができないため照明を中心とする電気代が膨大になってしまいます。

ある工場では原価に対する電気代が4割にものぼり、産業として成立させていくためには電気代の抑制が不可欠です。

 

 

現状の課題と展望

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以上にあげた植物工場の特徴やメリット・デメリットを踏まえて、植物工場の課題をどのように克服し発展していくかを考えます。

 

電気代の抑制

デメリットで解説しました通り、植物工場の最大のデメリットであり参入障壁はコストの高さにあります。

特に利益率を下げてしまう電気代の大きさは今後植物工場を主流としていくためには絶対に解決したい問題であります。

 

今注目されているのは植物に当てる"光"の改良です。この光は植物の光合成を促すためのもので、生産物のクオリティを上げていくためには欠かすことのできない重要な要素となっています。

具体的には間欠照明*という照明を用いることによって、電気代を抑えようとする研究が行われています。

 

*間欠照明…点灯と消灯を繰り返して行う。電気代の抑制が期待されている。

 

「農業」との棲み分け

もう一つ考えなくてはいけないのが従来型の「農業」との棲み分けです。

 

現在植物工場はその生産物を直接企業に買ってもらうことによって成り立っています。

現段階ではまだまだ植物工場産の野菜の市場規模は小さく、既存の農業を破壊してしまう段階ではありませんが、将来的には既存農業と競合、あるいは破壊してしまう可能性があります。

 

急激な産業破壊は社会の不安定化を生みます。

規模が縮小しているとはいえ農業もまだまだ日本の重要な産業であることには変わりません。

社会不安を生むことなく、うまく植物工場が展開していく方法を考えなくてはならないのです。