本と絵画とリベラルアーツ

本と絵画の解説

天才ホーキングの半生を描いた『博士と彼女のセオリー』【映画の紹介】

オススメ度:☆☆☆☆

 

なぜ天才と苦難と美女の取り合わせはこんなにも美しいのだろうか。

 

学生時代に全身の筋肉に脳からの伝達が伝わらなくなる難病ALSを発症したホーキング。

悲劇に直面しながらも尊厳を失うことの無かったホーキングは、ついに大理論の発表に至り、最後は女王陛下に招かれる。

 

天才的な頭脳を持ちながら一人では生きていくことの出来なくなったホーキングと、彼を支える妻やそれをとりかこむ人々の葛藤を描いた作品。

 

 

この難しい役柄を演じたのはエディ・レッドメイン。彼は数カ月にわたってホーキングについて研究し、この映画に臨んだという。

立ち振る舞いはまさに身体の自由が日に日に奪われていく様が表現されていて、とても演技とは思えない。迫真の演技に心が打たれる。

彼はこの役で初めてアカデミー主演男優賞にノミネートされ、受賞を果たした。

 

 

ホーキング博士とは

イギリス・オックスフォード出身の物理学者。

本名はスティーヴン・ウィリアム・ホーキング。

 

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大学在学中にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し身体の自由を奪われていったが、その苦難にも負けることなくそれから半世紀にわたって研究をつづけた。

 

 研究対象は宇宙や時間で、ブラックホールに関するいくつかの偉大な功績を残している。

 

あらすじ

ケンブリッジ大学で物理学を学んでいたスティーヴンは、とあるパーティでジェーンという同大学文学部の美しい女性と出会い恋に落ちる。

 

卓越した頭脳を持つスティーヴンは教授にも気に入られ充実した毎日を送っていたが、徐々に身体の異変に気付き始める。

 

医者に脳の指令が身体に伝わらなくなるALSという病気だと診断され、余命2年という残酷な宣告を受けたスティーヴンは自暴自棄になるがジェーンの愛を強く感じ立ち直る。彼らは周囲の反対を押し切り結婚し、子どもを儲ける。

 

病魔に侵され身体は電動車いす無しで生活することを困難にした。

そんな中でもスティーヴンは研究をつづけブラックホールに関する偉大な論文を書き上げ、理論物理学者としての地位を確立していく。

 

 

一方で育児とスティーヴンの介護の両立に悩むジェーンは段々と疲れがたまっていってしまう。そんな娘の姿を見かねたジェーンの母はジェーンに聖歌隊に入ることを提案し、ジェーンは教会の聖歌隊の練習に通うようになる。

そこで出会ったのが妻を亡くしたピアノ奏者ジョナサンで、彼はホーキング家の事情を勘案し、家族に協力してくれるようになる。

 

ジョナサンが加わり楽しい日々を取り戻したホーキング家であったが、3男が生まれた際には周囲からジェーンとジョナサンの関係を疑われるようになり、二人は惹かれあっていながらも距離をおくようになる。

 

招待されたフランスのボルドーでのオペラ鑑賞中、スティーヴンは突然倒れてしまう。緊急入院したスティーヴンには人工呼吸器が付けられ、ジェーンはスティーヴンを安楽死させるか声を失ってでも手術するかの選択に迫られ、命がある方を選ぶ。

 

 

声までも失ってしまったスティーヴンのもとに雇った看護師エレインがやってくる。

エレインはスティーヴンのよき理解者となり、スティーヴンもエレインを信頼していく。

 

微細な動きでも文字を入力できる合成音声機を手に入れたスティーヴンは執筆に打ち込みだす。

こうして書き上げた「A Breif History of time(ホーキング、宇宙を語る)」は世界的大ベストセラーになる。

 

ある日スティーヴンはアメリカで行われる授賞式にエレインを連れていくと、ためらいながらジェーンに告げる。

全てを悟ったジェーンは涙を流し、「I have loved you(あなたを愛していたわ)」と伝え、二人は別の道を歩んでいくことになった。

その後ジェーンはジョナサンと結婚する。

 

 

女王陛下に名誉勲章授与のため夫婦として招かれたスティーヴンとジェーンは謁見後陛下の庭を散歩する。

ジェーンがスティーヴンにお礼を言うと、無邪気にはしゃぎまわる子どもたちを前にスティーヴンが「Look what we made(私たちの創り上げたものをごらん)」と合成音声で言い、物語は幕を閉じる。

 

感想

理不尽な悲劇の中でひとりひとりが悩み、苦しみながらも正しく生きようとする姿に感動した。

 

この映画の主な登場人物であるスティーヴンやジェーン、そしてジョナサンはみな大きな悩みを抱えながらもみんなが幸せになることを祈って行動していた。

 

主人公であるスティーヴン・ホーキングは若くして残酷な宣告を受け、絶望の淵に立たされた。これからの長く、素晴らしいと信じていた人生は大きな音を立て崩れ、死ぬまで静かに毒が回るのを指をくわえて眺めていなくてはならなくなったのだ。

何も信じられないような深淵の中で手を差し伸べてくれたジェーンのために、一生懸命信じることを続け、生き抜いた。

 

ジェーンは子供の世話とスティーヴンの介護の両立に限界を感じながらも、愛する家族のために自己犠牲を続けた。愛する人より、愛する家族が幸せになることを選んだ。

 

ジョナサンはジェーンを愛していながらも、ジェーンが大切にする家族を第一に考えた。

 

みんな愛する人が幸せになってほしいという一心で、自分の後回しにしていった。

 

 

きっとこういうことは現実世界でもたくさんあって、お互いがそれを知らずにこらえ続けてるのだろう。そういった優しい人が幸せになれる世界になったらいいと思った。