本と絵画とリベラルアーツ

本と絵画の解説

センター世界史で満点を取った勉強法

受験の暗記科目の中でもボリューミーな地歴。

大学入試センターの資料によると、2018年度の受験者数は日本史Bがおよそ17万人、世界史Bがおよそ9万人、地理Bがおよそ14万人で、日本史受験者が世界史受験者の倍近い数を占めています。模試などでも見渡した様子だと意外と世界史を選んでいる人が少ないんだなあという印象を持っていました。

 

私は世界史選択でした。理由は、漢字が苦手で日本史だと記述で苦労するだろうなと思ったのと、日本史では範囲が狭いためかなりコアな知識が問われそうで、しょぼい人覚えてもしょうがないな、一方世界史なら地域が広い分そこまでマニアックなものは聞かれないだろうと考えたからです。

 

私の高校は理系に特化していたために、学校の授業で世界史をほとんど扱いませんでした。一応にはあったにはあったのですが、2年生の時に世界史Aだけという文系志望泣かせのカリキュラムでした。そのため、受験のための世界史勉強は自力で行うことになりました。

 

実際勉強してみて感じたのは、勉強が進めば進むほど面白いということです。

初めの段階では初見のバカ広いオープンワールドのゲームを説明書見ながらうろちょろしているようなものなので、若干早い段階で飽きが来ます。

しかし辛抱強く続けていくと、知っている場所が増え、使える知識も増えるので楽しくなってきます。

 

暗記のコツはある情報に対して、多くの関連情報をつけていくことです。

世界史も最初のほうではひとつの単語に対してひとつの説明しかつけてあげることが出来ませんが、次第に自分で勝手に意味づけができるようになるので、覚えるのが楽になります。世界史の単語ひとつから延々と話ができるようになってきます。

世界史をしっかりやった人はこれができている人が多いので、大学入学後もしばらくは世界史選択者同士で世界史トークに花を咲かせることも多かったです。

また後半はマニアックな用語を覚えて優越感に浸るのも快感になってくるで、世界史縛りのしりとりで知識を見せびらかしあったりもしていました。マニアックな単語はめったに試験に出ないので、どこにも披露する場面がなく終わってしまい悲しいので、みんなその用語を使ってあげたいのです。

 

楽しい楽しい世界史勉強ですが、触れたとおり最初の段階では挫折ポイントも多く、やる気をそがれることが多々あります。

そこで今回は、世界史の勉強を始める上できっと役に立つコツや、抑えるべきポイントを紹介していきたいと思います。

 

世界史は第二次世界大戦から始めよう

世界史の勉強は古い方から始まります。有史以前はサラッと流す程度なのでよいのですが、鬼門はその次のオリエントです。

世界史におけるオリエントとは地中海東岸からペルシア地域あたりにかけてを指すのですが、世界史の勉強を始めたばかりの人にはまったくイメージがわきません。メソポタミアはアラル海?に注ぐアム川?とシル川?の間です??ととりあえず無理な暗記を強いられることになります。

 

これはだいぶつらいですよね。

よほど普段からニュースに関心があって調べているか、世界旅行が趣味でもない限り、イラクとイランの場所が分かるという人は少ないと思います。

それどころか地中海沿岸の地域をはっきりと理解しているという人は少ないのではないでしょうか。

 

世界史を勉強する上でその場所を世界地図上で考えたときにどこか分かる、というのは必要不可欠です。地域を理解することで大体の宗教や民族を把握できるようになります。逆にこれができていないと、頭の中で宙に浮いた地域を暗記していくことになり、横のつながりが理解しにくくなってしまします

普通の授業では古い年代から勉強が進んでいくので、セム語族やゾロアスター教などふだんなじみのない単語ばかりが並ぶことになり、初期における勉強の大きな障害となってしまいます。

 

そこで私がおすすめする勉強法は、世界史を第二次世界大戦から行うということです。

第二次世界大戦でしたら中学時代にも一度勉強していますし、出てくる人名や列強と呼ばれる国々も知っていることが多いと思いますのでスムーズに暗記ができます。

そして、第二次世界大戦の一番良いところは世界の端から端までが舞台になっているということです。

世界史の用語を身に付けながら、世界のざっくりとした地図を覚えることができます。

この際、より地図を覚えるためのコツがあります。それは毎回勉強するごとに、自分がその日勉強する地域を、地図帳などを見ながらノートに絵で描くということです。毎回描くことで形が頭に入り、また何も見なくても地図が描けるようになれば国名や川の名前を聞いただけで場所を思い浮かべられるようになります。

きれいに描こうとすると初めのうちは時間がかかるかもしれませんが、次第に早く描けるようになるので、ここは辛抱して描きましょう。

 

第二次世界大戦が終わったら、そのまま現代まで進めていきましょう。この時、細かい用語やアフリカの国の名前、芸術史などは覚える必要はありません。また一周した時に戻ってくると思いますので、その時に覚えましょう。

ただ歴代のアメリカ大統領は現代史を進める上で軸となるので、早めに覚えてしまうのもいいと思います。

中東戦争のあたりは最初苦しいですが、地形と現在の国境までは確認しておきましょう。ここで地中海東岸の形状がざっくり頭に入れば、オリエントに戻った時に楽になります。

 

最初の段階では意識するのは大まかな流れと地理に絞って問題ありません。最初にいくら細かい知識を入れたところでほとんど忘れてしまいます。

一週目は勉強の下調べ程度のつもりで進めていきましょう。

 

戦争の年号は必ず覚えよう

世界史は紀元前13世紀あたりから現在までの年号が出てくるので、途方にくれてしまうこともあると思います。

塾講師によっても覚える派と覚えなくていい派に分かれていて混乱してしまいます。

覚えなくていい派の言い分としては、志望校が直接年号を聞いてこない限り暗記の容量をよけいに食うべきでない、ということがあります。

 

これについて、私は間違いだと思います。

世界史は縦のつながりと横のつながりが絡み合ってできています。確かに年号を暗記しなくてもイベントの順番が分かっていれば縦のつながりは理解できます。中国の清朝では、皇帝の名前を順番に暗記していれば時代の流れは読み取れます。

 

しかし、年号を覚えていないということは地域ごとの流れはわかっても、横のつながりである他の地域同士を比べたり並べたりして考えることが出来ないということです。中国が元の時代の時、ヨーロッパがどういった状況かわからないというのは困ります。

20世紀の出来事であれば、だいたいの感覚でどれくらい前かわかります。これが12世紀、13世紀であったらどうでしょう。感覚ではかることはできないと思います。

 

年号は縦のつながりと横のつながりの交差地点であり、流れを理解するにも用語を暗記するにも必要不可欠な要素であります。

 

とはいえ、膨大な年号を初めから全部覚えようとしていくのは得策ではありません。ある程度優先順位をつけていく必要があります。

最優先で覚えるべき年号は、戦争の年号です。

戦争は離れた地域の者同士が会する特別なイベントなので、一個年号を覚えるだけで両国に対する知識が増えることになり大変お得です。とりわけ遠征している場合にはその周辺の時間軸がそろうことになるので整理がつきやすくなります。

 

例を挙げると、642年のササン朝ペルシアvsイスラーム(正統カリフ時代)であるニハーヴァンドの戦いや、1241年に起きたモンゴルvsポーランドのワールシュタットの戦い(ワールシュタットはドイツ語で死体の山の意味)は時代の横のつながりをつかむのにとても使えます。

 

資料集・地図帳を見よう

現在、書店の参考書売り場に行けば有名講師たちによる素晴らしいテキストがたくさんそろっています。世界史についても数多く出版されているので、見に行くといつも迷ってしまいます。

 

メインの参考書を何にするのであれ、絶対に欠かせないのが資料集と地図帳です。資料集と地図帳についてはそんなに種類はありませんし、学校で配られたものがあればそれで大丈夫です。

初めのうちは資料集には情報が多すぎて、邪魔に思えることもあるかもしれません。しかし、あれほどの良質の写真と資料が集められているテキストは他にありません。

探すのが難しい国境の移り変わりが分かりやすく載っていたり、社会制度がヴィジュアル的に解説されていたりと、勉強を進めていくうえで重宝すること間違いなしです。

外国の文化や宗教は文字で見るだけでは正しく認識することは大変難しいです。

その点、資料集では宗教画や当時の生活様式の絵がカラーで載っており、理解の助けになります。

資料集の絵や図はその場で暗記する必要はないものの、一週目の段階で一通り目を通しておくことは今後の役に立ちます。

 

勉強の段階が進んでいくと、膨大な文化史にぶつかるときがきます。特に私立大学を志望している人はかなり踏み込んだところまで覚えていくことになります。

文化史は政治史や宗教史と異なり時代の流れに直接的に関与しているわけではない上に、一対一の味気ない暗記がメインになってしまい、覚えるのがたいへん苦しくなっています。

 

そこで一つ疑問として湧いてくるのは、出てきた作品を実際に見たり聞いたりする必要があるかということです。文学作品に目を通すのは難しいかもしれませんが、絵画やクラシックはインターネットを使えばアクセス自体は簡単にすることができます。

見たほうがいいとは思いつつ、時間と割に合わないのではないかという心配もありますよね。

 

私のオススメとしては、よほど興味がない場合を除いて実際に触れてみるのがいいと思います。

確かに、受験勉強は時間との勝負でありますが、勉強自体は受験のためだけにやっているのではありません。最大の目的は人生を豊かにすることにあります。

せっかく素晴らしい古典に触れる機会があるのに、用語の暗記だけで済ますのはあまりにも味気なさすぎます。

受験レベルの文化史に登場する作品の数々はその分野における最高峰だけです。このとてつもなく長い歴史の中で価値を認められ続けてきたものだけがここに残っているのです。

そんな作品たちに魅力がないわけがないのです。

興味の強さはあるにしろ、何かしら感想をもつと思います。この刺激こそが脳に強烈な印象となって残ります。鑑賞し、関心をもった作品は忘れにくくなります。

 

もし鑑賞する中で趣向が合えば勉強の息抜き代わりにもなりますし、もっと興味を持った時には趣味に発展する場合もあります。私の場合は、このパターンで西洋絵画に興味を持つようになりました。

 

最後に、覚えるまでやろう

勉強し始めの段階のコツについていくつか書きましたが、最終的に必要なのは全部覚えてやろうという気概です。

世界史には終わりがありません。掘れば掘るほど細かい情報が出てきてしまいます。

もちろん、それらをすべて覚えようというわけではありません。

 

自分でどこまで覚えるかはっきりと決め、そこまでを完璧に仕上げるようにしましょう。

どこまで覚えるかの指標は過去問にあります。赤本を読んで、どのレベルまで覚えればよいのか、どのレベルまで因果の流れを理解すればよいのか、よく研究してみましょう。

 

世界史は覚えることも多いですが、興味を持てればとても楽しい科目になります。この広い世界史の範囲をしっかりと勉強していけば、なにかしら自分の関心のある分野が出てくるはずです。

 

知之者不如好之者、好之者不如楽之者

 

これは論語の言葉で、「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」読みます。

これ理解している人はこれを好きでいる人に及ばず、これを好きでいる人はこれを楽しんでいる人に及ばないという意味です。

 

好きこそものの上手なれ。

世界史も興味をもって楽しむことが上達への一番の近道です。