本と絵画とリベラルアーツ

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【オススメ】大石哲之『コンサル一年目が学ぶこと』【要点まとめ】

オススメ度:★★★★★

他人に貢献することを仕事のゴールにする(p.219)

 

大石哲之『コンサル一年目が学ぶこと』

新入社員向けのビジネス書や講座は多くあるが、その中でもこの本は重要な要素に絞られて書かれている良書。入社前よりも入社半年~2年目の人が読むと自分の至らない点に「ドキリ」できより効果が得られると感じた。

私がこの本を初めて読んだのは入社1年目のときで、まさに自分が課題だと感じている点が多く書かれており、猛省するいい機会となった。したがって当時自分が「ドキリ」とした内容を抽出しまとめた。

PREP法

論理的に話すためのフォーマット。要点を効率よく伝えるためには、時系列ではなくこのフォーマットで話す方がよい。

上司や先輩に報告する前には、一度このフォーマットに沿って整理するよう心掛ける。

Point→Reason→Example→Point 

 

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングについては以下の本が完成されているとし、多くの説明をこちらに譲っている。どこかのタイミングでこちらの本も必ず読みたい。

 

仮説思考で意思決定を速める

「はじめに仮説有りき」(p.)

仮説思考もコンサルの超基本のひとつ。

問題発生→情報収集→検討ではいたずらに時間を浪費してしまう。仮説を立て検証・FBを高速で回すことで効率的に仕事を進めることができる。

また仮説思考は意思決定を早めることにも寄与する。通常問題発生してから対応にあたるが、普段から課題意識をもち仮説を立てておくことで、いざ問題が生じた時に迅速に対応できるようになる。

 

コミットメントとは

ライザップのCMで広まり、近年よく聞く「コミットメント」という言葉。横文字でふんわりした印象がある。この本ではその意味について明瞭に示している。

一度約束したことは、何があってもやり遂げる。それがコミットするということ(p.)

ビジネスは信頼の積み重ねであり、信頼は約束を遂行することで蓄積される。「何がああってもやり遂げてくれる人」という評判は、社内外どちらに対しても効力を発揮する。

とはいえ、理不尽な要求や無理難題を戦略なしでこなしていては身が持たない。そこで重要になってくるのが次項の「期待値マネジメント」である。

 

期待値マネジメント

最後にこの本で一番重要だと感じた「期待値マネジメント」について。

 「ビジネスというのは、突き詰めると、 相手の期待を、常に超え続けていくことにほかならない。 顧客や消費者の期待を超え続けていくこと。上司の期待を超え続けていくこと」(p.65)

業種・職種・役職関係なく、つまるところビジネスとは相手の期待値を超えていくことだと言える。そのためには期待値を達成するための能力はもちろんだが、期待値を正しく把握する力が必要になる。これが一番難しい。

いきなり習得するのは難しいが、本書では期待値を把握するため、仕事を受けるときに抑えておくポイントが紹介されている。それが以下の4点である。

①その仕事の背景や目的

②具体的な仕事の成果イメージ

③クオリティ

④優先順位・緊急度

どれも基本的なことだが、そもそもこれらをなぜ抑えておかなくてはいけないのかを念頭に置いておくことでその質を上げることができる。

 

この本に書かれていることはどれも当たり前のことである。しかしその当たり前を目的意識をもってどれだけ忠実に行っていけるかによって5年後、10年後の仕上がりが変わってくるだろう。

 

稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』

オススメ度:★★★★★

マヤの伝説では、人間はトウモロコシから作られたとされている。人間がトウモロコシを創り出したのではなく、人間の方が後なのだ。

 

稲垣栄洋『世界史を大きく動かした植物』

人類の歴史は、常に植物と共にあった。食べ物として、衣服として、貨幣としてそして麻薬として。

この本では史学、経済学、植物学、栄養学、気象学といった側面から多元的に植物と人類の歴史を考察している。

知的好奇心がくすぐられる良本。

 

進化のいたちごっこ

ダーウィンの進化論によれば、環境に適応できない動植物は自然淘汰され、その時々の環境に適用した個体が子孫を残し進化を遂げていった。

すると起きるのは環境に適応し進化した動植物に適応し、新たな進化が生じるという生命のイタチごっこである。

例えば、草原に植生するイネ科の植物と牛や馬の関係もその一つだ。

 

森林ではなく草原に植生するイネ科植物は、食べられないような工夫として葉から栄養をなくし、成長点を低くした。牛や馬は栄養のないイネ科から栄養を得るために、臓器を増やし発達させた。また多くの多量の植物を食べるために身体を大きくした。

 

食べられないよう進化したイネに対し、何としてでも食べるために牛や馬が進化している。短期的に見れば自然は均衡が取れているが、長い目で見るとゆっくり移り変わっていることがよくわかる。

 

単子葉類と双子葉類

生物は常に複雑な方向に進化していくだろうか。この問いに否定するのが単子葉類と双子葉類の例である。

単子葉類と双子葉類の違いは中学理科で習う。単子葉類はわしゃわしゃとしたひげ根を持ち、師管と道管はバラバラに位置している。一方の双子葉類は根が主根と側根に分かれており、茎には師管と道管が維管束という形で綺麗に配置されている。

一見すると単子葉類が原始的で双子葉類が洗練されているように見え、単子葉類から双子葉類に進化したように思える。しかし実際は逆である。

単子葉植物の構造は単純であるが、じつは単子葉植物の方が進化した形である。  単子葉植物の一枚の子葉は、もともと二枚だったものをくっつけて一枚にしたものである。また、形成層のようなしっかりとした構造は、茎を太くして、植物体を大きくするためには必要だが、それだけ成長に時間が掛かることになる。そのため、単子葉植物は、スピードを重視して、形成層をなくしてしまったのだ。

個が強くなることより早く成長するという戦略を変えたことで、単子葉類が生まれたという。感覚に反する面白い例だ。

 

経済と植物

生産し貯蓄できる植物は経済とも密接に関わっている。

種子は食べるだけでなく、保存することができる。保存しておけば翌年の農業の元となるが、残った種子は、人類にある概念を認識させる。それが「富」である。(中略)お腹を満たす食糧とは異なり、「富」は蓄積することもできれば、奪い合うこともできる。攻めては富を得ることもできるし、攻められれば富を奪われることもある。こうして、農業を行う人々は競い合って技術を発展させ、強い国づくりを行ったのである。 こうして農業は「富」を生みだし、強い「国」を生みだした。そして、技術に優れた農耕民族は、武力で狩猟採集の民族を制圧することができるようになったのである。

また日本においても、

どうして戦国武将たちは、こんなに熱心に水田づくりを奨励したのだろうか。じつは「コメ」は単なる食糧ではなく、「貨幣」そのものであった。

貨幣が統一されていない戦国時代には、「コメ」が一般的等価物として機能していた。そして織田・豊臣の時代を経て、徳川の時代に「コメ本位制」が確立する。「コメ本位制」になったことで、江戸時代の諸藩は新田開発を加速させる。すると米の価格が下がり(インフレが起こり)、経済が不安定化した。そこで登場するのが徳川吉宗である。

そこで、コメ将軍と呼ばれた徳川吉宗はコメの価格を上げるために享保の改革を行い、経済の立て直しを迫られるのである。

 

栄養の保管は人類共通のテーマ。日本人はコメを収穫して保管したが、寒冷なヨーロッパでは植物を家畜に食べさせることで栄養を保管した。しかし冬にはその家畜に食べさせる植物も無くなるため、屠殺して保存するしかなかった。この時

イネ科植物の茎や葉は人間の食糧とはならない。そこで、イネ科の植物を牧草として草食動物に食べさせて、動物の肉を食料とするのである。家畜は英語で「リブストック」という。これは「生きた在庫」という意味である。

 

ほかにもこの本には西欧人がジャガイモを「聖書に書かれていない植物」として忌避した話しや、サクラの語源が稲作に関連があるなど、面白い話が多く載せられている。

ぜひ週末の読書に。

 

 

【感想】ディズニー長編アニメ全作品見てみる(55/61本)

2023年創立100周年を迎えるディズニー。そんなディズニーでは1937年公開の白雪姫以来およそ60本ものアニメーション映画を世に送り出してきた(実写やピクサーなどの子会社作品を除く)。この記事ではディズニーのアニメーション映画について個人的な評価をダイジェスト形式でまとめながら、全作品制覇を目指している。

 

 

ディズニー長編アニメ全作品見てみた



1930s - 1950s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
白雪姫 1937/12/21 ★★★★★ 美に執着した女王が醜い老婆へと変わることで人間の執着を見事に表現されている
ピノキオ 1940/02/07 ★★★★☆ いい子と悪い子のはざまにいるピノキオの心情が迫力をもって描かれている名作
ファンタジア 1940/11/13 ★★☆☆☆ 正直キャラクターの出ないパートは眠くなる、、、
ダンボ 1941/10/23 ★★★★☆ サーカスのテントを立てるシーンが個人的にお気に入り
バンビ 1942/08/13 ★★★☆☆ バンビがかわいい
ラテン・アメリカの旅 1942/08/24 ★★★☆☆ どこか懐かしいナレーションがとてもよかった。ホセが出る。
三人の騎士 1944/12/21 ★☆☆☆☆ 何を見せられているのかという気持ちになる。キャラはかわいい。
メイク・マイン・ミュージック 1946/04/20    
ファン・アンド・ファンシー・フリー 1947/09/27 ★★☆☆☆ 前半は知名度が恐ろしく低いクマのボンゴ。後半はミッキーたち
メロディ・タイム 1948/05/27   ファンタジアの実験台。退屈。ペコス・ビルが出る
イカボードとトード氏 1949/10/05 ★★★★☆ 魅力的なキャラクターと愉快な音楽、そしてホラー...
シンデレラ 1950/02/15 ★★★★☆ 曲、キャラクター、ストーリー構成すべてがお手本の様にすばらしい
ふしぎの国のアリス 1951/07/16 ★★★★☆ 渋谷にある水曜日のアリスにたまに行きます
ピーター・パン 1953/02/05 ★★★★☆ 魔法の粉で空を飛んで、ビックベンの時計の針に乗るという発想が天才
わんわん物語 1955/06/16 ★★★★★ 日常の中にファンタジーを作り出すのがうまい。奇抜さや流行り抜きでも、らしい生き方を提示することができる。曲が素敵
眠れる森の美女 1959/01/29 ★★★☆☆ 終わっちゃったけどワンマンに眠れる森の美女を入れたの天才だと思った

 

1960s - 1970s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
101匹わんちゃん 1961/01/25 ★★★★☆ クルエラがヴィランとしてとても魅力的
王様の剣 1963/12/25 ★★★☆☆ 絵柄は好き
ジャングル・ブック 1967/10/18 ★★★☆☆ 曲も絵柄もいい。
おしゃれキャット 1970/12/11 ★★★★☆ ディズニー×ジャズは最高
ロビン・フッド 1973/11/08 ★★★☆☆ わかりやすくテンポもいい
くまのプーさん 完全保存版 1977/03/11    
ビアンカの大冒険 1977/06/22 ★★☆☆☆ ヴィランがクルエラに似てる

 

1980s - 1990s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
きつねと猟犬 1981/07/10 ★★★☆☆ 王道の友情物語
コルドロン 1985/07/24 ★★☆☆☆ キャラ設定が生かされていない
オリビアちゃんの大冒険 1986/07/02 ★★★☆☆

ロンドンを舞台にした愉快な探偵もの

オリバー ニューヨーク子猫ものがたり 1988/11/18 ★★★☆☆ ビリー・ジョエル×ハワード・アッシュマン
リトル・マーメイド 1989/11/17 ★★★★★ 声に恋したエリックに会うため声を捨てるストーリーが秀逸
ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え! 1990/11/16 ★★☆☆☆ CG練習中。ヴィランは前作のメデューサの方が良かった
美女と野獣 1991/11/22 ★★★★★ 一番好きなディズニー作品
アラジン 1992/11/25 ★★★★★ 劇団四季の『アラジン』が今まで見たミュージカルの中で一番良かった
ライオン・キング 1994/06/24 ★★★☆☆ 囮になって逃げるシーンはいつ見ても笑える
ポカホンタス 1995/06/23 ★★★☆☆ 留学して海外かぶれした女子をポカホンタス女子と呼ぶらしい
ノートルダムの鐘 1996/06/21 ★★★★☆ ブロードウェイ版の『ノートルダムの鐘』の音源が国宝級によい
ヘラクレス 1997/06/27 ★★★★☆ 藤井フミヤの『Go the Distance』が名曲
ムーラン 1998/06/19 ★★★☆☆ 実写版では名曲がBGM化しててショック!
ターザン 1999/06/18 ★★★☆☆ 作画が素晴らしい。小さいころ無限ループしていた

2000s - 2010s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
ファンタジア2000 2000/01/01 ★★☆☆☆ ノアの箱舟のシーンしか覚えていない
ダイナソー 2000/05/19 ★★☆☆☆ 猿に育てられた恐竜が群れのリーダーになる
ラマになった王様 2000/12/15 ★★★☆☆ ギャグ全振りの作品だった
アトランティス 失われた帝国 2001/06/08 ★★★☆☆ ヒョロガリが古代文明を見つけ勇敢に活躍する
リロ・アンド・スティッチ 2002/06/21 ★★☆☆☆ 「オハナ」だけで丸く収めるのは無理がある
トレジャー・プラネット 2002/11/27 ★★★☆☆ 親子愛ストーリー。テーマはよかった
ブラザー・ベア 2003/11/07 ★★☆☆☆ クマを殺しクマになる。全く共感できない。曲はターザンライク
ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え! 2004/04/02 ★★★★★ 牛版の『天使にラブソングを』。曲も良い。ポスターで損しすぎている
チキン・リトル 2005/11/04 ★★★☆☆ キャラが個性的で楽しい
ルイスと未来泥棒 2007/03/30 ★★★★☆ よくできたタイムトラベル物
ボルト 2008/11/21 ★★★★☆ ジョン・ラセターかと思ったらジョン・ラセターだった
プリンセスと魔法のキス 2009/12/11 ★★★★★ 愉快なジャズが好きなあなたに
塔の上のラプンツェル 2010/11/24 ★★★★☆ 圧倒的作画と音楽
くまのプーさん 2011/07/15 ★★★★☆ プーさんがなかなかの畜生
シュガー・ラッシュ 2012/11/02 ★★★☆☆ クッパいたなあ
アナと雪の女王 2013/11/27 ★★★★★ 日本語版でも曲がいい。神田沙也加さんがいなくなって本当に残念
ベイマックス 2014/11/07 ★★★★☆ 泣ける
ズートピア 2016/03/04 ★★★☆☆ キャラが作り込まれている
モアナと伝説の海 2016/11/23 ★★★★☆ ビリーブでの使われ方に感動した
シュガー・ラッシュ:オンライン 2018/11/21 ★★★★☆ キャラ・背景のデザインが素晴らしい
アナと雪の女王2 2019/11/22 ★★★★☆  

 

2020s

タイトル 初公開日 評価 一言コメント
ラーヤと龍の王国 2021/03/05 ★★★★☆ ストーリーもキャラもよかった
ミラベルと魔法だらけの家 2021/11/24 ★★★☆☆ 曲はよかった
ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界 2022/11/23 ★★★☆☆ 現代社会詰め込み過ぎ

【勉強法】文系が統計検定データサイエンス基礎に合格した話

2022年12月に統計検定 データサイエンス基礎を受験し無事合格した。本記事では難易度や具体的にどのように勉強していったかについてまとめてある。

 

文系が統計検定データサイエンス基礎に合格した話

 

勉強法

統計検定 データサイエンス基礎を勉強するにあたり、ポイントが大きく2つある。それは①統計の知識と②Excelでのデータハンドリングである。

 

①統計の知識に関しては、統計検定2級程度の知識があれば十分だと言える。事前に統計検定2級を取得できていれば申し分ないが、もしなくても3級レベル(高校レベル)の確率の知識があれば簡単に補うことができる。

オススメは以下の本である。一般向けに書かれた本であるため表現は平易でありながら、重要なポイントをしっかりと抑えてある。この本の内容を一通り理解しておけば、データサイエンス基礎に合格できるだけのレベルに達することができる。

予想学習時間:20時間

 

②Excelでのデータハンドリング

目安としては、ピポットテーブルを難なく作成できるスキル。ピポットテーブルが使えなくとも答えにたどり着くことができるが、問題数に対する時間を考えるとやはりピポットテーブルが使えた方が望ましい。

ピポットテーブルが意外に必要な関数や小技は以下の記事がとても参考になる。

qiita.com

 

出題メモ

当日出題された内容のメモを簡単に残しておく。

出題テーマと内容

[1]店舗売上→ソート、累積度数、パレード図

[2]人口→1万人あたり、相関係数、単回帰

[3]医療→69歳以下、既往化、重症化、相関係数、条件付き確率、and、クラーメルの連相関係数

[4]不良品→期待値、二項分布の分散、ベイズの定理

[5]歩数→ピボット、母分散、平均、欠損値

[6]解かなかったやつ→信頼区間

[7]企業利益→従業員一人あたりの利益、割合、四分位数

[8]テキスト→ピボット、絶対度数

 

 

・大問8つ(4〜5問/大問)で90分と時間が厳しい

・ピボットテーブルの活用が重要

・クラーメルの連相関係数の定義や、四分位数のExcel関数(四分位数)は問題に記載されていた

【感想】渋谷のSTUDY LOUNGEにビジターとして行ってみた【混雑】

自己学習が求められるようになる中、有料の自習室やコワーキングスペース流行りつつある。コロナ禍によるテレワークの増加や、空きテナントの増加もこのトレンドに拍車をかけている。

私も受験生の頃雑居ビルの一角に入っている自習スペースを借りて学習していましたが、その頃の自習スペースはただ勉強机がいくつか並んでいるというお粗末なものだった。

しかし時は流れ、現代の自習スペース・コワーキングスペースはどんどんオシャレに、そして快適に進化している。

 

今回は渋谷にあるSTUDY LOUNGEをビジターとして利用してきたので、その特徴や雰囲気を記事にした。

studylounge.jp

渋谷のSTUDY LOUNGEにビジターとして行ってみた

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雰囲気

STUDY LOUNGEは、渋谷駅から徒歩10ほどのところにある雑居ビルの中にあった。はじめ入り口が少しわかりにくいが、塾の看板が目印になる。

小さなエレベーターに乗り込み、8階で降りるとすぐ目の前が入り口になっていた。入ってすぐ左に受付があるので、声をかけ説明を受ける。支払いは後払い。

 

空間は4つに分かれており、それぞれフレキシブルスペース、ミーティングスペース、集中スペース、ラウンジスペースとなっている。集中スペースではパソコン作業をすることはできない。

中でも人気なのは個別の机が設置されているフレキシブルスペースで、私が訪問したときにはミーティングスペースが誰もいなかったのに対し、フレキシブルスペースは9割方埋まっていた。

どこに座ろうか迷ったが、空いているフレキシブルスペースの席を見つけたのでそこに落ち着くことにした。

 

利用者は半分社会人、半分学生といった感じでとても静かで落ち着いていた。案外パソコン作業をしている人は少なく、紙ベースでの学習が多く見られた。

たまに通る電車の音がとても心地よかった。

 

設備

設備は机の他、コーヒーマシンとウォーターサーバーが設置されていて飲むことができる。コーヒーマシンを使いたい場合は受付で頼みコインをもらい、それを使ってマシンを動かす。コーヒーは集中できるようこだわられたブレンドのようで、ホットとアイスでそれぞれ2種類ずつ用意されていた。

受付で頼めば紅茶も飲むことができる。

 

フレキシブルスペースの机に配置されたコンセントは1つだけだったので、複数コンセントを使いたい場合にはたこ足を持って行った方がいいかもしれない。

モニターもない。パソコンはネットサーフィン用であれば借りられるとのことだった。専用のWi-Fiもあり。

 

 

基本的にはきれいなスペースだったが、椅子がだいぶ使い込まれているのかシートが剥げているものが多かった。

 

注意点・感想

飲み物は持ち込み可能だが、ビジターの場合には一時退室ができないので先に買っておく必要がある。

 

3時間利用して1,600円ほどと手ごろで、渋谷の近くに用があるときにはまた利用したいと思った。ただ前述のとおりパソコン作業のするという雰囲気ではないので、キーボードをガシガシ叩きたい場合には他のカフェなどを利用した方がいいかもしれない。

 

孤独はなぜ精神を蝕むのか?『ハンナ・アレント』【講談社現代新書100】

オススメ度:★★★☆☆

存在も見方も多様でありながら、誰もが常に同一の対象に関わっているという事実こそがリアリティを保証するのである。(p.76)

牧野雅彦『ハンナ・アレント 全体主義という悪夢』

著者:牧野雅彦(1955~)

神奈川県生れ。広島大学大学院社会科学研究科教授。京都大学法学部卒業後、名古屋大学大学院法学研究科修士課程修了。

 

感想

「現代新書100」というレーベルが、講談社より創刊された。通常の新書が200ページ強であるのに対し、「現代新書100」は100ページを基本とし、より手軽に楽しめるようになっている。

「新書の権威が落ちた」という意見も見られたが、本が売れない時代に門戸を広く開けておくことは良いことだと思った。

 

共通世界

人間の活動は、「労働」「仕事」「行為」に分けられる。生産と消費を行う「労働」、自然の素材に手を加えて具体的なものを製作する「仕事」、そして人間同士で行われるのが「行為」である。「行為」によって人は他者との間に網の目のような関係=共通世界を作り出す。その「共通世界」のなかで「行為」は行われ、また「共通世界」は存続していく。

人は共通世界のなかで統合された他者の目線を理解し、「共通感覚」を獲得する。共通感覚はそのままその人の倫理となる。

全体主義はその共通世界を破壊し、人々の判断力を奪う。共通世界を破壊された後、人々が拠り所にするのは論理である。ヒトラーは「人種の優劣」を、スターリンは「階級闘争」の論理を持ち出し利用した。

 

リアリティ

面白いと感じたのが、リアリティとは何かについてかかれた部分である。

リアリティを保証するものは、世界の構成員が対象を同一的な見方をすることではない。存在も見方も多様でありながら、誰もが常に同一の対象に関わっているという事実こそがリアリティを保証するのである。(p.76)

どれだけ自分が本物だと感じていても、他の人からの評価がなければリアリティを保ち続けることはできない。例えば、自分だけに見えていて他の人に見えないものがあるならば、いずれそのものが実在することに対する自信を失っていってしまうだろう。

自分の生きている世界にリアリティを感じるためには他者の評価が必要不可欠であり、これがなければ自分の世界だけでなく、自分自身の存在そのものに対してもリアリティを失っていってしまう。そういう意味でやはり人間は社会的な動物なのだろう。

孤独が精神を蝕んでいくのも、このあたりに答えがあるのではないかと感じた。

 

【感想】劇団四季『美女と野獣』を見てきた【ネタバレ無し】

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劇団四季で演じられているディズニー作品と聞いて、みなさんは何を思い浮かべられるだろうか。

超ロングラン上演でCMもよく流れている『ライオン・キング』や、上演が決まってからたびたび話題に上がっている『アナと雪の女王』を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。

 

数多くのディズニー作品が演じられてきた劇団四季だが、最初に持ち込まれたディズニー作品は実は『美女と野獣』である。1995年に初めて上演されて以降、しばしば間を挟みながらこれまで演じられてきた。

そして2017年の京都公演で千秋楽を迎えて以降、5年ぶりに舞浜公演として再スタートした。

 

私は『美女と野獣』がディズニー映画の中で最も好きな作品で、今回の公演も心より楽しみにしてきた。『美女と野獣』を観るために四季の会(劇団四季の有料会員)に入ったと聞けばその熱量が伝わるだろう。

私が観に行ったのは舞浜公演が始まって初めての土曜日ということもあり、大変賑わっていた。グッズショップもはじめ空いていたが、私が退店するころには外まで列ができていた。

 

率直に感想を言えば「トータルでは良かった」というのが正直な感想である。期待を大きく上回った部分もあれば、個人的に少し気になったところもあった。

 

期待値を大きく上回り印象に残ったのは、出演者の圧倒的な歌唱力である。特に主演のベルとポット夫人の声は素晴らしく、話し声でさえ感動させられた。

兎にも角にも声が美しい。この二人が声を出そうとするだけでワクワクさせられ、それだけでも観にきた甲斐があったと感じた。

ポット夫人による主題歌は圧巻で、「口から音源」という言葉がぴったりであった。本当に映画の中にいるような気分だった。

 

一方で少し気になった点は、一部の背景と舞台装置である。前からの公園のものを継続して使っているのかもしれないが、演者たちの歌唱力に対し迫力がやや物足りないなと感じた。

とりわけ背景の方はハリボテ感が否めない箇所があったので、どこかでグレードアップするタイミングがあればいいなと思った。

 

結局良いのか悪いのか分からない感想になってしまったが、控えめに言って良かったことは間違いない。

まだ2回は観に行く予定があるので、アドリブ部分や他の演者との違いが楽しみだ。