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天才になる脳の使い方とは?池田裕二『受験脳の作り方』に学ぶ【本の紹介】

オススメ度:★★★★☆

どうしてあの人はあんなに頭がいいのだろうか… あの人はどの教科でも要領良くこなすな…

こんなこと思ったことありませんか??

 

どうしてあの人はいろんな教科ができて、自分はどの教科も上手くいかないのだろう。こんな悩みを持っている人多いと思います。

この『受験脳の作り方』では脳科学の専門家が科学的な見地から「どうしたら効率よく勉強できるか 」を解説しています。

 

 

 

なぜ頭がいい人はどんな教科でもできるのか

あなたの身の回りにも勉強に関して頭がいいという人がいると思います。

そういった人はある程度の偏りはあっても、わりとどの教科でもできるんじゃないでしょうか??

 

ああ、なぜ神はあの人に3つも4つも勉強の才能を与えて、わたしには1つも与えなかったのだろうかと嘆いてしまいたい気持ちも湧いてきます。わたしも苦手教科に対してはこのように幾度となく嘆いたものです。

 

しかし、「頭がいい人がいろいろな教科ができる」というこの秘密は脳科学によって説明ができ、かつ誰でも習得することができます。そしてそのポイントは「学習の転移」という、人間の持つ学習上の性質にあったのです。

 

学習の転移とは簡単に言えば「頭は使えば使うほど性能が上がり、かつ他の分野にも応用が効く」というものです。

 

次の項でこの「学習の転移」について詳しく説明していきたいとおもいます!

 

 

ポイントは「学習の転移」

勉強はざっくり言えば特定の事柄(数学の公式や歴史の年号)などを覚えるだけのように思えてしまいますが、実はそれ以上に重要な役割を果たしています

 

何かを学ぼうとして勉強をした時、その事柄について知れるのはもちろんですが、加えて「それを知る方法」についても無意識のうちに習得しているのです。

 

例えば、日本地図を覚えようとするとします。この時には県の場所や形、名前を覚えます。

しかし実は習得したのは場所や名前といった「そのもの」だけではありません。この時脳内では「形と名前をセットで覚える時には頭の中でこんなふうに整理したら覚えやすいな」という"方法"も同時に獲得しているのです

 

この"方法"が役に立つのはその時だけに留まりません。仮に次世界地図を覚えようとすることがあれば、きっと日本地図を覚えるよりストレスなく覚えられるはずです。

すなわち、日本地図を勉強した段階で「地図を習得する」ということに関して頭が良くなったと言えます。

 

さらにこれは他教科に対しても応用が効きます

もし国語を勉強して文をよりスムーズに理解できるようになったらば、他の教科で文を読む時に活かされるはずです。

こうした汎用性の高さを考えるといかに国語や数学が重要であるかがわかってくると思います。

 

勉強すると勉強ができるようになるというのは半分正解半分間違いで、正しくは勉強をするから頭が良くなって、勉強ができるようになるのです。

 

 

まずは好きな教科から始めよう

それでは実際に頭を良くする手順を考えていきましょう。

 

もちろん勉強が得意だという人はこのまま続けていけば学力は次第に上がると考えられるので、この時点で心配する必要はないです。

一方で現時点で勉強が苦手だという人は何かしらの戦略を立てて勉強した方が効率が良さそうです。

 

今までの内容を踏まえて、勉強が得意でない人にオススメしたい戦略は「好きな教科から勉強する」というものです。

 

好きな教科ばっかりやってると能力が偏ってしまいそうですが、その勉強の中で習得したのは「方法」というのは他の教科にも活かされるので完全に偏ってしまうということはありません。

むしろ勉強が苦手な人が全教科満遍なく勉強しようとするとどれもこれも中途半端になってしまうことが多くオススメできません。

 

勉強はすぐには結果が出ないので最初は辛いと思います。人間はすぐに結果が出ないものに取り組むのが苦手なので(ダイエットとかね)、最初の山を乗り越えることは簡単でなありません。

 

ですが頭の良さというのは加速していきます。

応用のレベルが上がっていき、成長速度が爆上がりした時には勉強が楽しくて楽しくて仕方がなくなってるはずです。

 

結果が出るまでは大変ですが、まずは好きな教科からでも学習してみてはいかがでしょうか。

 

 

【あらすじ】太宰治『人間失格』【オススメの本】

オススメ度:★★★★★

「世間というのは、君じゃないか」

太宰治の代表作の一つで累計で1000万部を超えるとされる大ベストセラー『人間失格』。

 

その死さえ軽く感じられるほどの堕落ぶりは共感できる人と、後味悪く感じる人に二分されると思います。

 

まだ読んでないという人は、是非あらすじだけでも読んでいってみてください!

 

太宰治『人間失格』

著者:太宰治(1909〜1948)

東京帝国大学仏文科中退。本名は津島修司。自殺未遂、麻薬中毒と破滅的な生活を送りながら作品を次々に執筆。1948年未完の『グッド・バイ』を残し愛人と玉川上水にて入水自殺した。

 

 

あらすじ

幼少期に性的虐待を受け性格の歪んでしまった葉蔵は、自分の気持ちも人間の二面性も理解できず道化を演じることでしか人間社会との関わることができなくなった。

 

学校へ上がった葉蔵は道化を続けることによって「尊敬」を集めてきたが、見下していた竹一という男に道化を見破られる。そして竹一は葉蔵に「お前はきっと、女に惚れられるよ」「お前は偉い絵描きになる」という二つの予言を残す。

 

葉蔵は都会に出て堀木という男に出会った。堀木は葉蔵に酒や煙草、淫売婦や左翼思想を教えた淪落した男だった。この人間の営みから外れた同士の付き合いは、以後長く続くことになる。

淫売婦と遊んでいるうちに葉蔵は女達者という匂いが付き纏い、不本意にもモテるようになる。葉蔵はカフェで知り合ったツネ子という女と入水自殺を図ったが、葉蔵だけが生き残ってしまった

 

その後は酒を飲み明かしながら女の家を転々とし、やがて「処女性」をもったヨシという年下の女と知り合う。葉蔵は「もう酒は辞める」と言い、彼女の処女性に何かを期待しヨシとの結婚を決めた。

 

ヨシと結婚してからも献身的な妻をよそに堀木と酒を飲んではつまらない時間を過ごす生活を送る。そんな中葉蔵はたまたまヨシが隠し持っていた薬を見つけ服毒自殺を図るが、未遂におわる

ある日ヨシが他の男と寝ているところを見つけてしまい、とてつもない恐怖に襲われる。耐えられなくなった葉蔵はモルヒネに頼るようになり、入院が決まる。

 

病棟に連れて行かれ、鍵を下ろされそこで初めて気づいた。自分は狂っていると思われていたのだと。すなわち、人間、失格。こうして悟った葉蔵は本当の廃人になってしまうのでした。

 

 

感想

死んだら終わりだとよく言われますが、この小説を読んでいると早く殺してくれとさえ思います。

 

この小説は「恥の多い人生を送ってきました…」という書き出しで始まります。

『人間失格』の主人公 葉蔵の自殺、すなわち自分への殺意の動機は憎しみでも厭世的なのでもなく「恥」でした。

 

恥ずかしいとき「穴があったら入りたい」とよく言いますが、葉蔵の恥はそんなものでは隠しきれません。「地獄があったら入りたい」と言わんばかりの、行為に対する恥に留まらぬ人生に対する恥でした。

 

この小説を読み、はたして自死を果たそうとしている人間に対して止めることが正しいのか分からなくなりました。もし金銭的に苦しいのならば支援することができますし、人間関係に疲れたならばどこか遠くに行くことで逃れることもできます。

 

しかし恥はそうはいきません

恥というのは自己に内在するものですから、どこへ逃げようともついてきますし、何か他のもので埋めることもできません。どこまでも自分の人生とともにあり続けます。

 

そんな生きることさえ耐えがたいような恥を抱えた人間を、どうやって救うことができましょうか。別にその人は死にたいんじゃないのでしょう。ただ自分の中にいつまでもあり続ける恥を無い物にしたいのです。

 

太宰治はこの作品を書いた後、次の作品(『グッド・バイ』)を完成させることなく自殺しました。太宰治の恥は、これをもって終わったのです。

 

【有隣堂の由来は?】知って楽しい!本屋さんの名前の由来8選

 

みなさんは好きな本屋さんってありますか??

有隣堂や丸善など、大きな駅の近くに行くと必ずと言っていいほど書店があります。

 

 

昔からある本屋さんですが、その社名の由来はあまり知らないことが多いんじゃないでしょうか。

 

今回は多くの店舗を持つ本屋さんの名前の由来について、その由来別に人名・論語・屋号の大きく3つに分類しまとめてみました!

 

本屋さんの名前の由来8選

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人名由来

まずは社名をつけるときの定番である人名由来の書店について紹介しています!

 

丸善

明治2年創業。当時の社名は「丸屋商社」といい、登記の際に架空の「丸屋善八」という人物を代表者として記載したことが名前の由来だそうです。

 

宮脇書店

高松藩士だった創業者宮脇藤太より。もともとは宮脇開益堂という名前でした。大手ながら四国に本社をもつ珍しい会社でもあります。

 

くまざわ書店

創業者の苗字より。北は北海道から南は沖縄まで店舗を展開し、日本第3位の店舗数を誇っています。

 

ジュンク堂

ジュンク堂が「クドウ ジュン」をひっくり返して付けられた名前というのは今では割と知られた話です。この「クドウ ジュン」というのは起業したの工藤社長、ではなくそのお父さんの工藤淳からとられています。もともとお父さんの経営するキクヤ図書販売という会社から独立したのがジュンク堂のため、工藤(子)社長はあれこれ父親に提案して気に入られたジュンク堂が採用されました。

 

 

論語由来

続いては書店らしく堅い論語由来のものを紹介します。論語とは孔子の言葉を弟子たちがまとめた書物で、儒教における「四書」のひとつです。

 

有隣堂

有隣堂という社名は『論語』の「德不孤、必有鄰(徳孤ならず 必ず隣有り)」からとられています。意味は「徳のある人孤立せず、必ず理解し協力してくれる人間がいる」と解釈されます。知との出会いの場としてぴったりな名前ですね。

 

三省堂

もともとは『論語』の学而ほ「吾日三省吾身(われ日にわが身を三省す)」から取られた言葉。早稲田大学の創立者でもある大隈重信が初代社長に送ったとされています。三省とは不忠(誠実であること)、不信(偽らないこと)、不習(十分に理解していないこと)によって人に迷惑をかけていないか自分自身でみたび省みることを意味しています。謙虚ながら力のあるいい言葉です。

 

 

屋号由来

最後に紹介するのは屋号由来の社名です。屋号とはもともと江戸時代に苗字を名乗ることの認められていなかった武士以外の身分の人々が便宜上使っていた姓のようなものです。主に商売をする上での識別名として使われていました。

 

紀伊國屋書店

創業者は田辺茂一。田辺家の先祖が紀伊徳川家に勤める足軽だったことから、屋号として「紀伊國屋」を用いたのが始まり。茂一の代まで紀伊國屋は材木問屋や炭問屋を生業にしていましたが、茂一が丸善の洋書に感銘を受け書店になりました。

 

蔦屋書店

創業者 増田宗昭の祖父が営んでいた置屋(芸者や遊女をかかえている家のこと)の屋号だった「蔦屋」に由来しています。江戸時代の出版社にあたる版元の蔦屋重三郎に由来するという説もありますが、こちらはイメージを重視して後から付けられたものになります。

 

*****

 

いかがでしたでしょうか。

同じ本屋でもその由来は様々でしたね。

 

ぜひ書店に行く機会がありましたら友人などに話してみると面白いかもしれませんね。

 

【泣ける】梨木香歩『西の魔女が死んだ』【オススメの本】

オススメ度:★★★★★ 

 

なかなか本を読んで涙が出るということはありませんが、この本は読むたびに涙腺が緩んでしまいます。

泣けるといっても、悲しいから泣いてしまうというわけではありません。優しさに触れて自然と涙がでるような、そんな感覚になる本です。

 

あらすじ

主人公のまいは、中学へ上がって少し経った頃思春期独特の人間関係に悩み、学校へいけなくなっていた。そんな状況でまいは1ヶ月ほどを"西の魔女"のもとで過ごすことになる。

西の魔女とは母方でイギリス人のおばあちゃんのこと。おじいちゃんが死んでからは田舎の家で一人で暮らしている。

 

まいはおばあちゃんの家で洗濯機を使わず洋服を洗ったり、裏山で取ったベリーでジャムを作るなど田舎で牧歌的な生活を送っていく。

そしてこの生活のなかで、まいは魔女から"魔女の手ほどき"をうけるようになる。

 

魔女になるのに、いちばん大切なのは「自分で決める力」だという。

まいは魔女との生活を通して、少しづつ成長していく。

 

 

感想:成長と自尊心

この本の重点は主人公であるまいが「自分で決める」ということで精神的に自立していくということでありますが、この成長の背景として自尊心が大きく関わっているのだと思いました。

すなわち、魔女に肯定され続けることでまいは自尊心を獲得し「自分で決める」ことができるようになったのです

 

*****

 

おばあちゃんの家に来る前、まいはお母さんと二人暮らし(お父さんは単身赴任)という家庭で過ごしていました。

このような家庭環境から、まいにとっていちばん身近な大人はお母さんだったと考えられます。

 

子供にとっての幸せの一つは身近な大人に認められることです。自尊心を獲得する以前の子供は大人に認められることを自己の拠り所としています。

 

物語の序盤、まいはお母さんが単身赴任先のお父さんと電話で登校拒否をおこしたまいについて話しているのを聞いてしまいます。お母さんの口から出てきた言葉は、どれもまいの自尊心を傷つけるものばかりでした。この電話を聞いてまいは、お母さんがもう自分に誇りを持てなくなったのだと気付いてしまったのです。

ママはもうわたしに誇りが持てなくなったのだ。まいにはそれがいちばん悲しかった。(p.16)

こうしてまいの自尊心は崩壊してしまうのでした。

 

*****

 

自尊心を失ってしまったまいは、おばあちゃんにも受け入れられないのではないかと憂いていました。

しかしおばあちゃんの口から出てきたのは全く逆の、予想だにしない言葉でした。

「まいと一緒に暮らせるのは喜びです。私はいつでもまいのような子が生まれてきてくれたことを感謝していましたから」(p.22)

 

まいを全肯定してくれるおばあちゃんの元で、まいは自尊心はを取り戻していきます。こうして自尊心を取り戻したからこそ、まいは「自分で決める」ことができるようになっていったのです

 

*****

 

子供の成長を考える上で与えるものばかりが注目されてしまいますが、その前提となる環境に関する議論が欠落していることがよくあります。

 

花にどんなに水や栄養をやろうとも、土がいいものでなければ与えたものもいき渡りません。

 

子供の教育や成長を促すためにはその子にいちばん何が足りていないのか、本人の立場に立って考えなければならないのです。

 

 

美術館デートを成功させる3つのポイント

みなさんは美術館をデートで使ったことはありますか??

 

行ったことがないという人は勿体ないです!

美術館は多くの街に置かれていて、天候にも左右されず雰囲気もいいデートにはうってつけのロケーションなんです。

 

今回は毎月美術館に通っている私の経験を、デートに応用できる形で紹介していきたいと思います!

 

美術館デートを成功させる3つのポイント

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順番に見るとめちゃくちゃ疲れる

美術館デートというと品のあるカップルが優雅に芸術品を眺めている様子が思い起こされますが、実は美術館というのはちゃんと見ようとすると意外と疲れるものです。

 

美術館の展示を真面目に見るとだいたい1〜2時間ほどかかります。

 

前から順番に見ていこうとすると人の流れに合わせて歩くことになり、律儀にこの流れに合わせて見ていこうとするとなかなか進まずかなり疲れます。特に人気の作品の前は進みが悪く、見れるまでにフラストレーションが溜まってしまいます。

 

多くの人が中盤まででだいぶ力尽きて、後半は集中力が切れたまま鑑賞するもったいないことになることが多いのです。

 

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デートでオススメの周り方は、絵画の近くを歩くのではなく、絵から一歩離れて絵の全体を眺めながら歩いて見ましょう。こうすることで人の流れにとらわれることが無くなり、また絵画をフィーリングで鑑賞することができるようになります。

 

このように見ながらもし気に入った絵があれば二人で近づき、細かく見るのが良いでしょう。

 

*****

 

また鑑賞の後に休憩できる場所や喫茶店を事前に準備しておくとスマートです。

ただ休憩になるだけでなく美術館の近くにはオシャレなお店やカフェがあることが多いので、休憩自体も立派なデートになります。

 

 

下調べで面白さ倍増

美術品をフィーリングだけで鑑賞するのももちろん美術館の醍醐味の一つですが、事前に軽く下調べを、しておくだけで美術館がグッと面白くなります

 

知らなければ軽くスルーしてしまう作品や、絵画のモデルにも実は面白いストーリーが隠されていることがあります。

 

例えば、印象派の巨匠 ルノワールのモットーは「見る人が楽しい気持ちになる絵を描くこと」でした。

これを踏まえてルノワールの絵を見てみると彼の作品には幸せそうな人物が数多く登場していることに気がつきます。

*ルノワールについて詳しくはこちらからどうぞ。

www.artbook2020.com

 

事前に情報を入れておくことで絵の楽しみ方が一つ増えるようになるのです。

 

また下調べしておいた情報は会話のタネにもなりますので、デートの前には少し勉強しておくのがいいと思います。(*ただしあまりにうんちく喋りすぎると煙たがられるので注意くださいませ)

 

 

混雑に注意

最後に気をつけることはあらかじめ混雑状況を把握しておくということです。

混雑状況はこちらのサイトで確認することができますので是非使ってみてください。

あの展覧会混んでる?

 

基本的に他の施設と同様に土日が混んでいても平日は空いていますが、企画展の始まりと終わりの時期は平日であっても並ぶことがあるので調べておくのがいいですね。

 

2020年の主な西洋絵画関連の展示はこちらにまとめてあるので参考にどうぞ。

www.artbook2020.com

 

*****

 

いかがでしたか。

簡単なこれらの点を踏まえておけば美術館デートはバッチリです!

是非美術館で素敵な時間を過ごしてくださいね。

 

終了目前のハプスブルク展に行ってきました【感想】

東京・上野の国立西洋美術館で開催中(2020年1月26日(日)で終了)のハプスブルク展に行ってきました!

 

ずっと行きたいと思っていたのですがなかなか予定が合わず、今回なんとか時間を作り訪れることができました。

 

今回は絵画展の解説ではなく、純粋に感想について書いていきたいと思います。

 

ハプスブルク展に行ってきました

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展覧会の概要

まずは概要から

会場:国立西洋美術館(東京都)

開催期間: 2019/10/19(土) 〜 2020/01/26(日)

開館時間:9:30〜17:30(金・土曜日は20:00まで)

休館日:月曜日(この記事公開以降終了までなし)

(詳しくは公式HPをご覧ください)

ハプスブルク展|600年にわたる帝国コレクションの歴史

 

 

感想

王家の展覧会のだけあって肖像画が多かったのですが、その中でもモデルや画家によって雰囲気がまったく違うのがとても面白かったです。

 

多くの人だかりが出来ていたのがベラスケスによる肖像画です。

マネに「画家の中の画家」とまで呼ばれていてたベラスケスは独特の背景表現によって人物にスポットが当たるような作品を得意としていました。

 

仰々しい装飾品や絵画のサイズに頼ることなく王の

威厳を表現していたのはさすがでした。

ベラスケスの描く人物には生々しさがあっていいですね。

 

*****

 

個人的に見入ってしまったのが展示の最後のブースに飾られていた、実質的に最後のオーストリア皇帝であるフランツ・ヨーゼフ1世の肖像です。

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ヴィクトール・シュタウファー「オーストリア=ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の肖像」 1916年頃 ウィーン美術史美術館

老齢でありながら陸軍元帥の軍服を纏い絵画全体から覇気が感じられます。なんとなくBLEACHの山本総隊長を思い出しました。

 

やはり(実質的な)最後の皇帝というのが威厳を増しているのでしょうか。

今回の展示の中でもっとも凄みを感じた作品でした。

 

*****

 

ハプスブルク家の多くが神聖ローマ皇帝を務めていたこともあり宗教画やギリシア神話をモチーフにした作品も多くありました。

 

旧約聖書の一節に、預言者アブラハムが我が子を捧げるよう神に言われその信仰を試される場面があります。

今回の展示会にもその場面をモチーフにした作品があり「これがあの場面かあ」と感激しながら見ていたんですが、一方で「もっと知識があればこの感激を多くの作品で味わえるんだろうな」と自分の知識の薄さを惜しくも思いました。

 

やはり事前の学習は大切ですね。

 

*****

 

もうすぐ終了してしまうハプスブルク展ですが、世界史を代表する名家のコレクションを味わうことのできる貴重な機会です。

もし予定が特にないという人がいらっしゃいましたら、ぜひ足を運ぶことをお勧めします!

 

人物や豪華な品々など見てわかりやすい作品が多いので、普段見に行かないという人も楽しめると思いますよ!

 

 

 

模試の結果はどうみるのか正解か?【結果の見方を解説!】

前回模試の復習の仕方を解説しましたが

今回は模試を受けた後に帰ってくる「結果」の正しい見方を解説していきます!

 

模試の結果はどうみるのが正解か?

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偏差値や判定はメインじゃない 

結果が帰ってくるとまず目が行くのが偏差値や判定だと思います。

偏差値や判定の変化に一喜一憂している人も多いんじゃないでしょうか。

 

しかし、この偏差値や判定というのはメインではありません。たしかにこれらから得られる情報も多くありますが、偏差値や判定を受験校選びの1番の理由に持ってくるのはかなり危険なんです。

 

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偏差値というのは自分の位置を50を平均として相対的に評価したものです。 

偏差値が変わっていないと自分が成長していないような印象を受けてしまいますが、実はそうではありません。

 

受験生であれば、個々人が勉強しているかは別としても全体としては学力が上がっていっているはずです。

全体が上がっている中で自分の偏差値が変わらないということは、自分の成績が概ね全体の平均と同じくるいの水準で上がっていると言えます。  

 

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また判定というのは単なる確率でしかありません。(ただこの確率はかなり正確だと言われています)

A判定が合格率90%だとすれば、A判定100人のうち90人が受かり、10人が落ちます。逆にE判定が合格率10%であれば、E判定100人のうち10人が受かり、90人が落ちます。

 

ここで大切なのは、確率が何%であれ自分は合格か不合格かに振り分けられるということです。

合格率が50%だからといって、自分の半分が受かって半分が落ちるということはありません。対象を一人に絞れば受かるか落ちるかの2択です。

 

どうしてA判定が出たからといって、自分が合格の90人の方に入ってると言えるのでしょうか?

逆にE判定だからといって、絶対落ちるというわけではないのです。

 

ではこの合格率をどうとらえたら良いかと言えば、合格した時のメリットとデメリットと掛け合わせて考えるのです。

 

つまり「合格率×合格のメリット」と「不合格率×デメリット」をそれぞれ考えて天秤にかけて考えましょう。

例えば、合格率が10%だが受かったらめちゃくちゃ嬉しい(100)、一方で受からなかったところで滑り止めがあるからそんなにデメリットはない(10)のだとしたら、

10%×100 > 90%×10

となるので、この受験はリスクをとって受験するのが正しいと言えます。

 

 

相対評価より絶対評価

さてここまで偏差値と判定の話をしてきましたが、ここでは最も重要な絶対評価の話をします。

 

受験で結果的に受かるかどうかは合格最低点を超えたかどうかで決まります。

偏差値がいくつであろうと、判定がなんであろうと合格点を下回れば落ちますし、上回れば受かります。

 

そしてこの合格点は過去の値が公表されていることが多いので、受験勉強の段階ではこの得点を超えるように目指していくことが基本になります。

 

一部の私立模試や国立模試を除いて、模試は本番に近い形で作られています。

模試でも同じ形式を解き、例年の合格最低点を目標に頑張っていきます。

 

相対評価がどれほどであるかより、絶対評価・絶対的な得点で合格最低点が取れるようにすることが受験の戦略として大切なのです。