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超初心者がProgate無料プランのPythonコースを使ってみた【感想・MY評判】

1週間ほど前に宣言しまして通り、1ヶ月後にPython3 エンジニア認定基礎試験合格に向けて勉強を始めました。

 

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そして合格に向けて選んだ本以外の教材がオンラインプログラミング学習サービスのProgateです。

 

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Progateとは

Progateは「初心者でも、独学でできるレッスンを」を目指した、初心者に非常に優しい学習サービスとなっています。

 

デモンストレーションにはイラストや図が多く用いられ、新しく出てきた専門用語には説明がつくので私のような全くプログラミングを知らない人間でもスムーズに進められます。

 

一つのレッスンあたりの所要時間は1-2時間に設定されており、その中でも章ごとに分けられているので時間のない人でも細かい時間でサクサク進められるようになっています。

 

 

プランは無料プランと有料プランに分かれています。

無料プランでは各言語の基礎的な18レッスンを受けることができます。定額980円の有料プランになると制限が解放され、全77レッスンを受けることができます。

Pythonは全5レッスンから成っており、無料で受けられるのは1レッスン目までとなります。

(2019年8月7日現在)

 

無料プランを使った感想

無料プランはチュートリアルという感じで、使い方や進み方を知るのにはちょうどいい具合です。

 

多くの言語で無料プランが用意されており、自分の目的別でもオススメのレッスンを教えてくれるので、プログラミングに興味はあるけれど、自分には何があっていて何から始めれば良いのかわからない、という人にはとても親切だと思いました。

 

ただ、無料プランだけでなにかを習得しようするのは難しいなと思いました。

 

無料レッスンで学べるのは文字列や変数、if文レベルまでで、これで何か自分で作れるようになるとは言い難いです。

 

それでも私はProgateにテンポの良い進み方と、丁寧な説明が気に入ったので有料会員になることにしました。

あのクオリティとボリュームで1ヶ月980円はかなりお得だと思います!

 

また有料版を使ってみて、良かった点や気になった点がありましたらまとめたいと思います。

 

最初のステージが動かないとき

最後にオマケですが、学習コース Python  Iの最初のステージ、「Pythonに触れてみよう:目標物を確認しよう」にて何度もフリーズするという事態におちいりました。

 

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この画面でコンソールに数字を入れた後、おそらく無限ループに入ってフリーズしてしまいした。

いろいろ試してみると、問題は自分が全角数字を入力していたことでした。

 

同じところで悩んでいる方いましたら試してみてください。

 

 

 

 

自己肯定スパイラルをつくる

近頃自己肯定感という言葉をよく耳にする。

 

本屋でも自己肯定感に関する本や、自己肯定感の強い子供の育て方の本をよく見かける。

それだけ自己肯定できずに悩んでいる人がいる証左ともいえる。

 

私はこれまで自己肯定の無さに苦しんだことはない。確かに思うようにいかず自己嫌悪に陥ることはあるし、自分の全てが好きだというわけでもない。

自分の全てが好きだというのはただのナルシズムにすぎず、自己肯定感があることと同義ではない。

むしろ行きすぎたナルシズムは自己肯定できないことの裏返しでさえある。

 

正しい自己肯定感は自分を強くし、健全な道徳心にも結びつく。

 

私の周りにも自分をイマイチ受け入れられないと言う人は多い。

自己肯定感の無さは負のスパイラルをもたらす。

 

そんな人に少しでも参考になればと、自分なりに思う自己肯定感の意義と克服の仕方を書いてみた。

 

自己肯定感とは何か

そもそも自己肯定感のとはなんだろうか。

"感"とつく以上自己肯定感は主観的な感情に過ぎずハッキリと定義するのは難しい。

 

 

一口に言ってしまえば自分を信じているということになるが、それだけでは不十分である。

あえて定義するならば、

自分を信じてくれる人がいると信じている自分を信じている

ということではないだろうか。

 

他者を想定しない自己肯定はナルシズムにすぎない。真の自己肯定をもってすれば他者を信じられる。

 

他者を信じるためには、他者を信じると決めた自分を信じるしかない。自分には人を信じることができる能力がそなわっている、人を信じるか信じないかという判断を下すことができる。

すなわち自分の理性と悟性を信じられるということが、他者を信じることの前提にある。

 

自分の判断能力を肯定しながら他者を否定すれば、人はニヒリズムに陥ってしまう。

 

他者を信じることは難しい。

それでも人間が確固たる何かを得るためには信じるという行為が不可欠になる。

『ビューティフルマインド』でも自身の判断力に絶対的な自信を持ちながら、他者を信じることを恐れる天才が描かれている。

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自己肯定感獲得のためには、独りよがりや情緒の欠如を乗り越えていかなくてはならない。

 

 

自己肯定感を獲得する

それでは実際に自己肯定感を獲得していくためには何が必要であろうか。

 

私たちが何かを得るため、すなわち信じるためには2つのルートが存在する。

 

一つ目は論理である。

人間(特に西洋人)が人を納得させるときには論理を用いる。正しい論理によって道筋を示してやることによって人は未知の何かを受け入れることができる。

たとえ見たことがなくても酸素と水素から水ができていることはよく知っている。何か新しいことを得る上で、論理は有効な手段である。

 

ただしこれには、論理の前提を批判する能力が自分に備わっていると確信していることが必要となる。

 

二つ目は経験である。

私たちの獲得する知のうち、大半は経験から得られる。

たしかに経験は限定化であるという批判はあるが、それでも実際人間が知から経験を排除するにはその絶対数が大きすぎる。

日常のありふれた出来事からコミュニケーション、行動の最適化まで無意識のうちに経験は組み込まれ応用されている。

突き詰めていけば科学でさえも経験にすぎず、明日も同じように科学が通用するとは限らない。万有引力もテコの原理も明日には逆転しているかもしれない。

 

自己肯定感もまた経験によって得られる。

自己肯定感の出発は人に信じられるところから始まる。

人に何度も何度も信じられることによって、自分は人に信頼されるに値しうる人間だと認識していく。

 

こうして得られた被信頼感は次第に信頼というエサがなくとも安定するようになり、自己肯定感の土台が完成していく。

はじめはただの思い込みであっても、長い期間を通じて思い込めば信じることと同義になる。

神がいると思い込み続けることが信仰と同義であるのと同じ関係である。

 

自己肯定スパイラル

 自己肯定感を獲得したとしても、それが未来永劫続くわけでない。

信仰でさえもいつか解けてしまう日がくるかもしれない。

 

常に自己肯定を続けるためには、常に自分に魔法をかけ続けてやる必要がある。

そしてこの魔法も自己肯定を燃料にして繰り返されれる。

そして自己肯定スパイラルをつくり出す。

 

自己肯定スパイラルは

①何かうまくいかないことがある

②自己肯定感によりそれでも自分は大丈夫だと勇気づけを行う。

③できるまでやる

④できる

⑤自分に自信が付き、自己肯定感が補填される

①に戻る

というサイクルで回り続ける。

 

自己肯定する癖がついていれば、たとえ小さな火種からでもこのスパイラルを大きくしていくことができる。

おおきな問題や高い壁にぶつかったとしても自分で自分を励まし続け、ついには乗り越えることが出来る。

 

 自己肯定スパイラルを獲得することとは、自分の人生を生きやすくすることなのだ。

2019年7月の読書結果

今年の7月は冷夏でした。

例年であれば30度を超える日々が始まり子どもたちはプール開きに大喜びとなるはずでしたが、今年の小学生は可愛そうですね。心からプールの授業をとらなくてよかったと感じています。

下旬になりやや暑い日も出てきましたが、私が求めている夏はこんなものではない。断じてこんな生ぬるいものではない。

光化学スモッグ注意報がでるような日差しの中、エアコンの効いた部屋で布団にくるまりながらアイスが食べたい!

そう切実に思っております。

 

 

『しょぼい起業で生きていく』

著:えらいてんちょう / オススメ度:☆☆☆☆ 

生活の中で余ったものを売って利益を得る。生活の一部を資本化するしょぼい起業では事業計画書も資金調達も必要としない。

普通に就活し、普通に働くのが肌に合わない人が快適に生きられるヒントがこの本の中にはある。

 

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『<実学・経営問答>人を生かす』

著:稲盛和夫 / オススメ度:☆☆☆☆

稲盛和夫は京セラ・第二電電(現:KDDI)の創業者であり日本航空を再建した名経営者である。稲盛は「盛和塾」を開塾し若手の育成にも力を注いでいる。

この本は「盛和塾」の実際の問答をまとめたものである。さまざまな業種の経営者のかかえる悩みに対し稲盛がひとつひとつアドバイスを送っている。

 

第一章 活気ある社風を作る

第二章 社員のやる気を引き出す

第三章 幹部を育てる

第四章 自らを高める

終章  リーダーの役割10か条

の全5章 となっており、稲盛の考える"人を生かす"哲学がふんだんに盛り込まれている。

現代の感覚からするとやや昭和感の強さは否めないが、マネジメントの基本となる部分は参考になると思う。

 

『限りなく透明に近いブルー』

著:村上龍 / オススメ度:☆☆

芥川賞受賞作の中で一番のヒット作である村上龍の「限りなく透明に近いブルー」。

在日米軍基地をかかえる東京の福生市を舞台に、ドロップアウトし、快楽と陶酔に溺れる若者たちの淡白で不思議な関係が描かれている。

劇的な生活の中にいるにもかかわらず、終始覚めた目でそれを眺め続けている主人公が読み手に奇怪な印象を与える。

 

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『中学受験の失敗学』

著:瀬川松子 / オススメ度:☆☆☆☆

中学受験の拡大とともに生まれてきた、中学受験に取りつかれ、暴走の末につかれ果ててしまった"つかれ親"たち。

そんなつかれ親たちを家庭教師として10年以上見てきた筆者がその実態を解明し、警鐘を鳴らす!

 

子どもを中学受験させようと思っている親必読の一冊。

 

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『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』

著:伊神満 / オススメ度:☆☆☆☆

なぜ既存企業は新参企業にイノベーションで後れを取り、敗北してしまうのだろうか。

経済学者クレイトン・クリステンセンはこれを「イノベーターのジレンマ」と呼びセンセーションを起こした。

この本ではクリステンセンの「イノベーターのジレンマ」に経済学的解明を加え、さらに掘り下げていく。

具体的には 「共喰い」「抜け駆け」「能力格差」の3つについて分析することで、既存企業が新参企業に負ける本当の要因を探る。

産業組織論に興味がある経済学部生にはぜひ読んでほしい一冊。

 

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『バカ社長論』

著:山田咲道 / オススメ度:☆☆

一生懸命働いているのに売り上げの減る企業がある。節約に努めているのになぜか利益が減少する。

会社が不振に陥る原因はバカ社長や管理職の判断ミスにある。

そんなバカ社長の間違ったやり方に対し筆者は会計士の立場から分析し、その実態を解明していく。

 

バカ社長の特徴に算数ができないということがある。 

ふつう、固定費の中で一番コストとなるのは人件費で、次が家賃である。

人件費が重くのしかかっている以上社員の時間は貴重な物であり、できる社員であればもっと大切にしていかなければならない。

ところがバカ社長はできる社員に余計な仕事をさせてしまうなど、時間の大切さを理解していない。優秀な人こそ暇にさせておかなければならないのだ。

 

また愚直に努力する大切さを教えるのも社長の役目である。

社会において人の信頼を得るためには愚直に努力する姿勢を見せていかなければならない。ところが中には自分すらそれができていない社長もいる。

努力する風土を持たない会社は信頼を得られず衰退していく。

 

この本のなかではこのようなバカ社長の特徴が並べ立てられている。ただその内容はどこか正論じみていて目新しい情報は正直すくない。この点より☆は2つをつけた。

 

『「分かりやすい文章」の技術』

著: / オススメ度:☆☆☆

 現代において、個人が文章を書く能力を獲得していくことはとても重要になっている。

文章には2通りある。文章は小説やエッセイなどの芸術文と、意見や情報などを伝達する実務文に分けることができる。

この本では「分かりやすい実務文」を書くことを目的としている。実務文における分かりやすさとは、読み手に書き手の意図を分かりやすく伝えることを指している。

分かりやすい文章を書くにあたって文才は関係ない。たとえ文才の無い人でも少しのコツをつかむだけで簡単にわかりやすい文章を作ることが出来る。

以下に本書のコツの一部を紹介する。

 

分かりやすい文章を書く上で必要となる技術は大きく5つに分けることができる。

①構成の技術

②レイアウトの技術

③説得の技術

④センテンスの技術

⑤推敲の技術

これらの技術のコツをつかんでいくことで、読んでいて気持ちのいい流れるような文章を書くことができるようになる。

 

また読み手を想像するというのも重要なポイントである。

読み手の視点に立って、自分の文章をなぜ?なぜそうなるの?という風に眺めていくことで読み手に優しい文章を書けるようになる。

 

文章を書く上で基本的なテクニックが大半を占めていて書きなれている人からすると物足りないような気はするが、それでも推敲の技術など改めて自分の文を分析する上で役立つ点は多くあると思った。

 

 

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【受験記】未経験からPython 3 エンジニア認定基礎試験を受験します

多少はパソコンに慣れている人や、統計に興味がある人であればPythonという名を一度は聞いたことがあるでしょう。

Pythonはプログラム言語のひとつです。AI開発に向いた言語ということで近年急速に人気が拡大しています。 

 

今回私はPythonの初心者向けのエンジニア認定基礎試験を受験することにしました。

全くの初心者ですので右往左往しながらになると思いますが、その中でうまくいったことや失敗したことがあれば共有していきたいと思います。

 

実は私は今までに何度もプログラム言語に挑戦してきましたが、ことごとく続かずやめてしまっていました。中学の時にはC言語に挑戦し用語が分からず挫折、高校の時にはJava言語を習得しようとしましたが飽きて頓挫。

 

今回は途中で投げ出すことの無いようにいろいろと工夫しながらやっていこうと思います。

 

試験の概要

 Python3の文法基礎を問う問題が全て選択式で40題出題されます。

 

時間は60分で40問中70%以上で合格となります。

出題範囲は「 Python3 チュートリアル 第3版」からで、公式HPでは各章の出題範囲も確認できます。

 

詳しくは下のHPをご覧ください。

https://www.pythonic-exam.com/exam/basic

 

目的

私は現在経済学部で学ぶ大学生で、来期よりゼミ(文系の研究室のようなもの)が始まります。

私は統計学に力を入れているゼミを志望しているので、そこで有意義な時間が過ごせるようにと、あらかじめ独学で勉強を進めておくことにしました。

 

統計学を勉強するにあたって同時にPythonかRを受験しようと思い、せっかくなら統計学以外にも応用の効くPythonを勉強しようと思いました。

 

資格試験というゴールを作ることで、まずは超初心者から初心者になるモチベーションは保つことにしました。

 

勉強期間

8月の頭から勉強始めて9月頭の受験を目指します。

ほかのブログでは7〜10日程度、経験者ではノー勉という方もいました。

ですが私は完全初学者ということでまずは1ヶ月勉強してみようと思います。

 

使う教材

初めての人にもprogateの評判がとても良いので、まずは1ヶ月有料会員になってみて今後継続して使うか決めようと思います。

 

本は以下の3冊を購入しました。

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初学者にオススメという一冊。

メルカリで買ったが、バージョンが2らしくどの程度使うかは未定。最新版がほしい。

 

 

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この試験の教科書。内容は全てこの本の中から出題される。

初学者にはやや難しいそうなので、ほかの教材を使った後に詰めとして使う予定。

 

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だいぶ前に買った Pythonの本。

買ってから下馬評を調べたところ誤植が多く使い物にならないとのこと。

8月はブログを毎日更新します

無事期末テストも終わり大学の夏休みに入りました。

夏休みといっても塾の夏期講習があったりとむしろ大学がある日々よりは忙しいのですが、いい機会なので今日から毎日ブログを更新したいと思います。

 

これを機に8月の以降も続けられたら理想ではありますが、やる気を出すコツとしてゴールが見えるということが励みになるので期限を設定しました。

 

せっかくの夏休みなので、珍しい体験や新しい知人との出会いなどがあれば随時公開していきたいと思います。

絵画・画家と読書案内をメインとする方針ではいくつもりです。

 

毎日更新を目指す他ブロガー様いましたら密かに見張ってていただけると幸いです。

 

【宅浪の思い出1】宅浪とNHK

いくら単調で勉強ばかりの毎日だったとはいえ、2年も浪人するとそれなりに振り返れる部分があります。

このシリーズでは浪人時代のちょっとしたエピソードや出来事を語っていきたいとおもいます。

主に現在進行形で浪人しているみなさんに息抜き程度に呼んでもらえるとありがたいです。

 

こないだの参議院選挙でNHKから国民を守る党(通称:N国)が彗星の如く現れ、議席を獲得するという大勝利を収めた。

選挙前までは面白がっていた連中も、いざ当選すると意見が分裂し、ある種のセンセーションを巻き起こしている。

 

さてNHKに肩入れするつもりもぶっ壊すつもりもないが、個人的には思い出に残っている番組がいくつかある。

最近ではめっきりNHKどころかテレビも見ることが少なくなったが、連日のニュースでNHKが取り上げられているのを見て、ふと懐かしい番組たちを思い出した。

その中には浪人中に見ていたものも含まれた。

 

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1浪目の、まだ気持ちも晴れやかでやる気も十分だった5月ごろ。この頃は朝も早く起きられ、暑くなる前に自習室に着くとすぐに勉強を始めることができていた。

浪人生ではあるものの自分のやるべきことが分かっており、勉強も計画より前倒しで進む日々は充実感に満ち溢れていた。

 

兄弟が多かった私は子供の頃自分の部屋や机を持っていなかった。宿題をやるときはもっぱらリビングの大きなテーブルで、兄弟が横でちょこまかする中で勉強していた。

自習室のLEDの明かりがついていて、四方は木で囲まれている広い机だった。椅子もスプリングのきいた座り心地の良いものだった。私にとって自習室の机は初めての自分のための机であり、空間であった。

 

浪人が決まった時から生活は朝方を守ろうと決めていた。このころは朝早く出て、夕方お腹が空くころには帰るよう努めていた。

 

帰るのはちょうどいつも午後6時ごろだった。

風呂に入り、テレビをつけて夕食を食べる。

これがいつものルーティーンだ。充実感の中で食べる夕飯は一人でも美味しかった。

 

宅浪生の辛いところとして、学割が効かないということがある。同年代の友人とカラオケや映画に行っても学生証がないというのはどこか疎外感を感じて寂しい。

精神面だけでなく実際問題金銭面としても意外と痛い。特にAmazonプライムスチューデントが使えないのはなかなか痛かった(予備校生が使えるかは分からないが)。

今でこそ時間があればAmazonビデオにお世話になることが多いが、当時はそれも無かったのでテレビを見ることが今より多かった。

 

6時半というと民放もグルメ特集ばかりで、特に目を惹くようなものはやっていない。勉強に満足して帰ってきた気分からするとなんだか物足りない気がする。

 

土曜のある日、チャンネルを回していくとある局がアメリカのホームドラマを放送していた。

このとき見つけたのがEテレ(旧NHK教育)でやっていた「iCarly」だった。

 

***

 

内容は、主人公カーリーが友人たちと一緒にインターネット番組iCarly.comを展開し、人気を博していくというもの。

毎回のパターンはだいたい同じで、友人の誰かがトラブルを起こし、カーリーがiCarly.comを通して解決していく。

 

当時は英語のモチベーションも高かったのでこれを英語音声にし、英語の字幕をつけて見ていた。

英語力が向上したかは定かではないが、とりあえず内容は理解できるレベルではあった。

 

「iCarly」が終わり短い番組を2.3挟んだ後からは「地球ドラマチック」が始まる。

毎回歴史や生物、社会問題にスポットを当て、子どもにも分かりやすいように謎に迫り、解明していく。子供向けの番組でありながら制作には相当力が入れられており、毎回クオリティが非常に高い。

 NHKはドキュメンタリーの分野に関しては他局より一つ頭出ている気がする。

 

私は特に世界史が好きなので、文明や遺跡に関するテーマは欠かさず見ていた。

なかなか詳しく知ることのできないメキシコの古代文明崩壊の謎は印象に残っており、今でも覚えている。また今まで自分の興味のなかった分野でも、見てみると意外に面白いことがあった。

幼稚園児の行動にスポットを当てた回も印象深く、子供達の性格によって全く行動パターンが違うことが分かった。

 

このように NHKにもいい番組はあり、全くの無益というわけではない。

特に子供の好奇心を刺激する番組は貴重であり、これが廃れてしまうのは非常にもったいない。

 

 たしかにNHKのあり方や体質には問題点も多く、国民が監視していくことは重要である。しかし存在そのものを否定するのではなく、いいものは残すという方向で変わっていってもらいたい。

 

 NHKが実質的な国営放送である以上、その存在意義を NHK自身が明らかにし、また主張していかなければならないのでないだろうか。

 

 

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【本の紹介】伊神満『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』【要約と感想】

オススメ度:☆☆☆☆

 

シュンペーターによって提案された

イノベーション(破壊的創造)。

新しく生み出された製品や技術が旧製品や旧技術を破壊し、乗り越えることで社会が更新されていく。

こういった歴史的パターンを経済学では「イノベーション」と呼んでいる。

 

世代交代の波は絶えず運動を続けている。

新技術が市場の勝者となる一方で、旧世代の勝者は没落していく。かつての勝者が敗者側に回っていく。

 

一度は栄光を手にした企業がどうして敗者として市場から退場していくことになるのだろうか。

 

クレイトン・クリステンセンはこのなぜの挑んだ経済学者の一人で、1997年に発行された彼の著書『イノベーターのジレンマ』はベストセラーになっている。

『イノベーターのジレンマ』では派遣の移り変わりの激しいハードディスクを対象に調査を行い、組織的・心理的バイアスの存在を明らかにしている。

端的に言えば、イノベーションの中で勝者が敗者に回る理由を、経営陣がバカだから失敗したと主張している。

 

この本では、この主張を懐疑的視点を持って考察し、"ジレンマ"の要因について科学的に解明することを目的としている。

 

以下にこの本の要約と感想をまとめた。

 

要約

イノベーションは新参企業が既存企業を乗り越えることで繰り返されていく。

この時新旧の企業の行動はは「共食い」「抜け駆け」「能力格差」という三つの要素が互いにインセンティブ・ディスインセンティブとなっている。

 

またこれらの要素を正確に理解していくには、経済学の道具である実証分析がかかせない。

この本の中では3つの有力な実証分析方法を紹介し、そのうち2つを使って各々の要素をはかっていく。

 

 

「共食い」

既存企業にが新商品を投入する場合、すでに展開している商品と「共食い」を起こしてしまう。したがって、既存企業はプロダクト・イノベーションを消極的になる傾向にある。

 

「抜け駆け」
独占企業にとって新参企業の参入は利潤を大きく減らす要因になるので、「抜け駆け」がインセンティブとして大きく作用する。

 

「能力格差」
既存企業は資本の蓄積がある一方で、保守化する傾向にあり、新参企業との「能力格差」は実証してみなければ分からない。

 

 

「実証分析」
経済学において、実証分析の方法は主に3つある。

一つ目は狭義のデータ分析で、回帰分析を用いてデータ間の相関関係を調べる。ただし、あくまで調べられるのは相関関係であって、見かけの因果関係は実際には私たちの頭の中にしかない。


二つ目は対照実験である。対照実験は研究対象が「小規模」「多数」「独立」である時有効であるが、今回のようにマクロ的な時には相性が悪い。


三つ目はシミュレーションである。モデルをコンピュータを用いて計算することで、擬似的な結果を得ることができる。実際に実験するのが難しい場合に有効。

 

 

実際に分析してみる
「共喰い」度合いを知るために、注意深い回帰分析によって新旧製品間の需要の弾力性を測定した。その結果弾力性は2.3となり、相当の代替性があることが判明した。

 

次に「抜け駆け」がどれだけ既存企業をイノベーションに駆り立てるかを考える。
利潤関数を求めることにより「抜け駆け」のインセンティブが大きいことは分かったが、実際にはイノベーションしないまま消えていった企業も多い。

 

最後に、イノベーション・コストを計ることで新旧企業の能力格差を計測する。
既存企業と新参企業のイノベーション・コストをそれぞれ調べると、既存企業のコストの方が小さい。すなわち、既存企業の方がイノベーションの能力が高い。

 

 

反実仮想シミュレーション

ここからが産業組織論の醍醐味である。
「共喰い」や「抜け駆け」が存在しない場合について反実仮想シミュレーションを用いて基本モデルと比較した。

比較の結果、「抜け駆け」のインセンティブがない場合に既存企業の遅れが顕著になるのがもちろんのこと、「共食い」が存在しない場合においても新参企業との差が埋まらないことがわかった。

すなわち、既存企業が遅れをとる原因は「共喰い」意外にも存在する。

能力で新参企業を上回っている以上、既存企業が新参企業にイノベーションで遅れを取るのは意欲の差であることが分かった。

 


既存企業の失敗の原因が「共食い」のディスインセンティブに基づく意欲の欠如であることが分かった以上、この問題を解決するには既存企業がためらわず損切りを行い、新事業を成功させていかなくてはならない。

 

結論
政策がイノベーションに与える影響についても調べたが、期待はできないことがわかった。

すなわち、放任された創造的破壊によって、確実にIT産業は発展を遂げてきた。

これは社会にとって望ましいことであるといえる。

 

感想

ビジネス本というよりは、経済学の面白さを前面に出した本。

 

経済学初心者、あるいは全く触れたことのないというひとでも理解できるレベルで解説してある。

一方で経済学中級者以上が退屈しないように随所に一歩踏み込んだ解説がコラム的にまとめられており、読み手のレベルを問わない本となっている

 

初学者でも分かるということで内容が薄っぺらいということは一切なく、本筋は筆者の専門である産業組織論のスキルがいかんなく発揮されている。

 

結果はシンプルで当たり前のようにも思えることだが、この本ではその当たり前の結論を出すまでに緻密な科学的考察を繰り返しており、これぞ経済学の面白みという感じ。

 

経済学に興味がある人には是非オススメ。

特に産業組織論に興味があるが、実際どんなことをしているかイメージがわかないという経済学部2年生あたりには是非呼んでほしい。